今日は財務会計のH28 第17問について解説します。
現在、3つのプロジェクト(プロジェクト①〜プロジェクト③)の採否について検討している。各プロジェクトの初期投資額、第1期末から第3期末に生じるキャッシュフロー、および内部収益率(IRR)は以下の表のとおり予測されている。いずれのプロジェクトも、経済命数は3年である。初期投資は第1期首に行われる。なお、法人税は存在しないと仮定する。
内部収益率法を用いた場合のプロジェクトの順位づけとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。たとえば、プロジェクト①>プロジェクト②は、プロジェクト①の優先順位が高いことを示す。なお、内部収益率の計算にあたっては、以下の表を用いること。
[解答群]
ア プロジェクト①>プロジェクト②>プロジェクト③
イ プロジェクト①>プロジェクト③>プロジェクト②
ウ プロジェクト②>プロジェクト①>プロジェクト③
エ プロジェクト②>プロジェクト③>プロジェクト①
オ プロジェクト③>プロジェクト①>プロジェクト②
解説
内部収益率法に関する問題です。
内部収益率法=IRR(Internal Rate of Return)とは、NPV=0 となる割引率のことで、IRR 法はIRR を求め資本コストと比較を行い、IRR が資本コストより大きければ投資を行うという判断をします。
NPV=0 となるIRR が大きいということは、資本コストが大きい、つまり高利でお金を借りても収支がプラスとなるということです。そのため、複数の投資案を比較する場合は、よりIRR が大きい方が有利な投資といえます。
以上を踏まえて、順番に見ていきましょう。
<STEP1>
まず、既にIRRの値が示されているプロジェクト①と③ですが、先ほどの解説の通り、IRRが大きい方が投資の優先順位は高まります。
つまり、①>③は確定ですので、選択肢はア、イ、ウに絞られます。
<STEP2>
続いて、プロジェクト②のIRRの値を求めます。
NPVがゼロ、つまり「-初期投資額+各期末に生じるキャッシュフローの割引現在価値」がゼロとなる場合の割引率を求めます
与えられている複利現価係数と年金現価係数ですが、プロジェクト②のキャッシュフローは毎年200と一定なので、年金現価係数の割引率使います。
<STEP3>
NPVが0となるときの割引率をxとすると
-500+200x=0
x=2.5
年金現価係数の表より、x=2.5となるのは、IRRが9%と10%の間ということになります。
よって、①~③の優先順位はプロジェクト②>プロジェクト①>プロジェクト③ですので
正解は選択肢ウとなります。
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