今回は、財務・会計から、平成25年の第17問について解説します。
H25 財務・会計 第17問
以下の文章の空欄A、Bに入る最も適切な語句の組み合わせを、下記の解答群から選べ。
投資プロジェクトの評価方法には、正味現在価値法のほか、[ A ]、回収期間法、会計的投資利益率法など多くの代替的手法がある。さらに近年では、不確実性の高い経営環境のもとで投資プロジェクトに対する経営の柔軟性を評価する[ B ]も提唱されている。
[解答群]
ア A:線形計画法 B:平均・分散モデル
イ A:線形計画法 B:リアル・オプション・アプローチ
ウ A:内部収益率法 B:マーケット・アプローチ
エ A:内部収益率法 B:リアル・オプション・アプローチ
解説
今回は投資プロジェクトの評価方法に関する語句について空欄を埋める問題です。
それでは早速各空欄を見ていきましょう。
選択肢を見ると、空欄Aには「線形計画法」か「内部収益率法」のいずれかが入ることがわかります。
投資プロジェクトの評価に用いられるのは、内部収益率法です。内部収益率法はIRR(Internal Rate of Return)法とも呼ばれます。IRRは、NPV=0となる割引率のことで、IRR法は、IRRを求め資本コストと比較を行い、IRRが資本コストより大きければ投資を行うという判断をするものです。
そのため、正解は選択肢ウまたはエに絞られます。
ちなみに、線形計画法は複数の制約条件がある中で、利益を最大化するもしくは費用を最小化するための計算に用いられるものです。
次に空欄Bを見ると、空欄Bには「マーケット・アプローチ」か「リアル・オプション・アプローチ」のいずれかが入ることがわかります。
マーケット・アプローチとは、市場価格法やマルチプル法のように対象とする企業の市場の株価や類似企業の市場の株価などを用いて企業価値を計算する方法です。そのため、説明にあるような「不確実性の高い経営環境のもとで投資プロジェクトに対する経営の柔軟性を評価」する方法とは異なります。
よって選択肢ウは×となり、正解は残った選択肢エとなります。
ちなみに、リアル・オプション・アプローチのオプションとは、デリバティブ(金融派生商品)の1つであるオプション取引で使われるオプションと同義で選択権という意味です。
リアル・オプション・アプローチとは、不確実性がある中での意思決定を金融商品のオプションのような形で分析する考え方のことで、金融商品のオプションに対して、リアルの世界の判断であるため、リアル・オプション・アプローチといいます。
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