今日は財務会計のR1第22問について解説します。
R1 財務・会計 第22問
A社は、5,000万円の資金を必要とする新規事業を始めようとしている。この投資により毎期 300 万円の営業利益を確実に得ることができ、この営業利益はフリーキャッシュフローに等しいものとする。今、5,000万円の資金を調達するために、次の2つの相互排他的資金調達案が提案されている。
MM理論が成り立つものとして、下記の設問に答えよ。
(第1案)5,000万円すべて株式発行により資金調達する。
(第2案)2,500万円は株式発行により、残額は借り入れにより資金調達する。
なお、利子率は5%である。
(設問1)
第2案の自己資本利益率として、最も適切なものはどれか。ただし、法人税は存在しないものとする。
ア 6%
イ 7%
ウ 8%
エ 12%(設問2)
法人税が存在する場合、(第2案)の企業価値は(第1案)のそれと比べていくら差があるか、最も適切なものを選べ。ただし、法人税率は30%とする。
ア (第2案)と(第1案)の企業価値は同じ。
イ (第2案)の方が(第1案)より125万円低い。
ウ (第2案)の方が(第1案)より125万円高い。
エ (第2案)の方が(第1案)より750万円高い。
解説
設問1は経営指標(自己資本利益率)、設問2はMM理論に関する問題です。
それでは早速各設問を見ていきましょう。
【設問1】
自己資本利益率を求める問題です。
自己資本利益率(ROE)は、以下の式で求められましたね。
自己資本利益率=当期純利益÷自己資本
第2案では、2,500万円を株式発行により、残りの2,500万円を借り入れにより調達するので、自己資本は2,500万円です。
当期純利益は直接の記載はないため、計算する必要があります。
問題文より営業利益は300万円とありますので、ここから当期純利益を求めます。
2,500万円を利子率5%で調達しているため、金利、つまり営業外費用は
2,500万円×0.05=125万円
となります。
営業外収益や特別損益に関する記載はなく、「法人税は存在しないものとする」とありますので、当期純利益は、
300万円-125万円=175万円
となります。
自己資本利益率は当期純利益÷自己資本でしたので、
175万円÷2,500万円=0.07
より、自己資本利益率は7%となります。
以上から、正解は選択肢イです。
【設問2】
MM理論の問題です。
MM理論では法人税がある市場では、借入があるときの企業価値は以下の式で表せました。
借入のあるときの企業価値=借入のないときの企業価値+税率×負債(借入額)
よって、借入のある第2案の企業価値は、借入のない第1案と比較して、
0.3×2,500万円=750万円
となり、第2案の方が第1案より750万円高くなります。
以上から、正解は選択肢エです。
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