【過去問解説(経済学)】H27 第19問 独占市場

今日は経済学H27第19問の独占市場に関する問題について解説します。

経済学H27第19問

 企業は、供給する財の価格を決定するとき、消費者の価格弾力性を考慮に入れることがある。
いま、ある企業が2つの市場Aと市場Bにおいて同一の財を独占的に供給している。当該企業は、2つの市場において同一かつ一定の限界費用でこの財を生産しているが、2つの市場で異なる価格を設定することができる。ただし、各地域内では、消費者ごとに価格を差別することはできないものとする。
この財への需要は、市場Aと市場Bでは異なり、市場Aでの需要の価格弾力性は、市場Bでの需要の価格弾力性よりも相対的に低い(相対的に非弾力的である)。
このときの記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 合理的な独占企業は、限界収入と限界費用が一致する生産量を選択する。

b 合理的な独占企業は、需要曲線が示す価格と限界費用が一致する生産量を選択する。

c 需要の価格弾力性が高い市場Bの価格は、市場Aの価格よりも高くなる。

d 需要の価格弾力性が低い市場Aの価格は、市場Bの価格よりも高くなる。

〔解答群〕
ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとd

 

解説

図がなく抽象的な説明だけの問題文です。少し混乱しそうですが、設問文から、独占や完全競争市場で企業が生産量を決定する条件を思い出して、正誤判断に導きたい所です。
それでは、説明文を確認していきましょう。

説明文aは、独占企業が生産量を決定する条件について説明しています。生産量は、利潤が最大化する所で決定されます。独占企業の利潤が最大化するのは「限界費用」と「限界収入」が一致する所です(下図参照)。
よって、この説明文は正しいです。

説明文bは、説明文aの条件および上図から利潤が最大化する条件ではないので、選択される生産量ではありません。
よって、この選択肢は誤りといえます。

説明文cについては「需要の価格弾力性」が高いとき、低いときはどうなるかを考えてみましょう。
「需要の価格弾力性」とは需要が変化した時に、価格がどの程度変化するかを示すものです。つまり、弾力性が高いときは、需要の変化に対して価格が急激に変化します。一方、弾力性が低いときは、需要の変化に対して、価格の変化は小さいということです。
また、完全競争市場と独占を比較すると、完全競争市場のほうが、需要と供給によって価格が決定されるために、価格弾力性が高いと言えます。したがって、市場Aのほうが価格弾力性が低いということは、市場Aのほうが価格が変動しにくいといえます。
例えば、需要が増大すれば(需要曲線は右下がりなので)価格は下落していきますが、弾力性が高い市場のほうが値段は相対的に低下します。つまり、市場Aより市場Bのほうが価格が低くなるという事です。
以上の事から、この選択肢は誤りです。

説明文dは、上記説明文cの解説から、市場Aのほうが価格弾力性が低い事で、相対的に値段が高くなるといえます。
よって、この説明文は正しいです。

以上より、選択肢イ(aとd)が正解となります。

 

 

 

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