【過去問解説(企業経営理論)】H30第2問&H24第3問 情報的経営資源

今日は平成30年第2問の情報的経営資源の問題について解説しますが、合わせて平成24年第3問についても解説します。

 

まずは、2つの問題を見てください。

 

H30 企業経営理論 第2問

経営資源の1つとして区別される情報的経営資源に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 企業活動における仕事の手順や顧客の特徴のように、日常の業務活動を通じた経験的な効果として蓄積される経営資源は、情報的経営資源には含まれない。
イ 企業活動における詳細なマニュアルや設計図は、熟練やノウハウなどの情報的経営資源と比較して模倣困難性は高くない。
ウ 企業にとって模倣困難性の低い情報的経営資源が競争にとって重要ならば、特許や商標のような手段で法的に模倣のコストを高める必要性は高くない。
エ 企業の特定の事業分野における活動で蓄積された情報的経営資源は、その事業に補完的な事業分野でしか利用できない。

 

H24 企業経営理論 第3問
現代の企業において、経営資源の利用と蓄積は、経営戦略の策定と実行にとって重要である。経営資源は、通常、人的資源、物的資源、資金、情報的資源に区別される。情報的資源に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

ア 企業活動における仕事の手順や顧客の特徴のように、情報的資源は日常の企業活動を通じて経験的な効果として蓄積される。
イ 企業活動における設計図やマニュアルのように言語や数値化されているような情報は、熟練やノウハウなどよりも模倣困難性が高くない。
ウ 企業にとって模倣困難性の低い情報的資源が競争にとって重要ならば、特許や商標のような手段で法的に模倣のコストを高める必要はない。
エ 企業の特定の事業分野における活動で蓄積された情報的資源の利用は、その事業に補完的な事業分野に限定されない。
オ 企業のブランドやノウハウのような情報的資源は、その特殊性が高いほど企業に競争優位をもたらす源泉となる。

 

いかがでしたでしょうか。

コピペかよ!と思うくらいそっくりですね。

 

私も最初、H30年の第2問を解いたとき、「どこかで見覚えのある問題だな」と思ったのですが、後で調べてみると見覚えどころか、選択肢の順番までほぼ丸写しの問題でしたのでとても驚きました。

 

これらの問題からわかるように、過去問はたまにほとんど同じ問題が出ることがあります。

しっかりと過去問を勉強していれば、「あ、あの問題と同じだな」とすぐに判断することができます。

 

それでは早速各選択肢を見ていきましょう。

今回は選択肢が2つほぼ一緒なのでまとめて見ていきます。

 

選択肢ア

H24 企業活動における仕事の手順や顧客の特徴のように、情報的資源は日常の企業活動を通じて経験的な効果として蓄積される。

 

H30 企業活動における仕事の手順や顧客の特徴のように、日常の業務活動を通じた経験的な効果として蓄積される経営資源は、情報的経営資源には含まれない。

 

前半はコピペですね。後半を見てみると、表現は若干違いますが、日常の企業活動を通じて蓄積された経験的な効果は情報的経営資源かどうか、ということを聞いています。日常の企業活動を通じて蓄積された経験的な効果は情報的経営資源ですので、H24は○、H30は×となります。

 

選択肢イ

H24 企業活動における設計図やマニュアルのように言語や数値化されているような情報は、熟練やノウハウなどよりも模倣困難性が高くない。

 

H30 企業活動における詳細なマニュアルや設計図は、熟練やノウハウなどの情報的経営資源と比較して模倣困難性は高くない。

 

これもそっくりです。

設計図やマニュアルのように言語や数値化されているような情報と熟練やノウハウはどちらが模倣困難性ががあるのか?ということですが、熟練やノウハウの方が、マネをしようとする人が直接見られない分、設計図やマニュアルのように言語や数値化されているような情報より模倣困難性が高いといえます。

そのため、H24は○、H30も○と判断できます。

 

選択肢ウ

H24 企業にとって模倣困難性の低い情報的資源が競争にとって重要ならば、特許や商標のような手段で法的に模倣のコストを高める必要はない。

 

H30 企業にとって模倣困難性の低い情報的経営資源が競争にとって重要ならば、特許や商標のような手段で法的に模倣のコストを高める必要性は高くない。

 

これも、H30の問題はH24の問題に赤字の部分を足しただけですね。

ここまで露骨に丸写しでいいのかと心配になるレベルです。

模倣困難性の低い、つまりマネしやすい情報的経営資源が競争にとって重要な場合、法的にマネしにくくするために特許や商標などの手段が用いられます。しかし、この問題ではその必要性が高くないといっているので、H24もH30も×です。

 

選択肢エ

H24 企業の特定の事業分野における活動で蓄積された情報的資源の利用は、その事業に補完的な事業分野に限定されない。

 

H30 企業の特定の事業分野における活動で蓄積された情報的経営資源は、その事業に補完的な事業分野でしか利用できない。

 

これも微妙に表現を変えていますが、ほぼ同じですね。

情報的経営資源は多重利用することができるということが特徴ですので、その事業に補完的な事業分野に限定されず、幅広く利用することができます。

そのためH24は○、H29は×です。

 

選択肢オ

H24 企業のブランドやノウハウのような情報的資源は、その特殊性が高いほど企業に競争優位をもたらす源泉となる。

 

選択肢オはH24にはありますが、H30にはありませんでした。

ということはH30は過去問よりさらに簡単になったということを意味しています。

選択肢オの企業のブランドやノウハウのような情報的経営資源が特殊ということは他社がマネしにくいということなので、選択肢オは○と考えられます。

 

以上から正解はH24が選択肢ウ、H30が選択肢イとなります。

 

 

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