【参考問題】
法改正の対象となった問題のため、参考問題として掲載しております。
今日は、企業経営理論 H29 第27問について解説します。
労働基準法に定める変形労働時間制および裁量労働制に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 使用者は、 1か月単位の変形労働時間制を採用した場合において、変形期間が開始した後に、労働基準監督署に届け出た労働日並びに始業及び終業の時刻と異なる日時に労働させた場合であっても、結果として、変形期間を平均して週 40時間の範囲内で労働させていれば、残業代を支払う必要はない。
イ 使用者は、 1年単位の変形労働時間制を採用した場合において、対象期間が開始した後に、労使協定で定めた労働日並びに始業及び終業の時刻と異なる日時に労働させた場合であっても、結果として、1日 10 時間、 週 52 時間の範囲内で労働させていれば、残業代を支払う必要はない。
ウ 専門業務型裁量労働制については、適用される労働者の個別の同意を得ることは要件とされていないが、企画業務型裁量労働制については、適用される労働者の個別の同意を得なければならない。
エ フレックスタイム制は、始業及び終業の時刻の両方を労働者の決定に委ねることを要件としておらず、始業時刻又は終業時刻の一方についてのみ労働者の決定に委ねるものも含まれる。
解説
変形労働時間制および裁量労働制に関する問題です。
労働時間については、まとめシートで以下の通り解説しています。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:誤りです。変形労働時間制を採用した場合においても、始業及び終業の時刻と異なる日時に労働させた場合は残業代を支払う必要があります。
よって、この選択肢は×です。
選択肢イ:誤りです。/その通りです。変形労働時間制を採用した場合においても、労使協定で標準となる1 日の労働時間を定めておく必要があります。そして、使用者の都合で始業及び終業の時刻と異なる日時に労働させた場合は残業代を支払う必要があります。
よって、この選択肢は×です。
選択肢ウ:その通りです。企画業務型裁量労働制は、事業の運営に関する企画、立案、分析など、遂行の方法を労働者の裁量に委ねる必要があり、使用者が指示しない業務に適用されます。ただし、企画業務型裁量労働制は、専門業務型裁量労働制と異なり、対象となる業務の縛りがありません。そのため、悪用されることを防ぐため、労働者を代表する委員と使用者を代表する委員で構成される労使委員会を開催し、その5 分の4 以上による決議と、労働基準監督署長への届出が必要となります。また、労使委員会の決議に基づいて労働者本人の同意を得ることも必要となります。
よって、この選択肢は〇です。
→2024年4月1日以降、新たに、又は継続して裁量労働制を導入するためには、裁量労働制を導入する全ての事業場で、必ず、【専門業務型裁量労働制】についても本人の同意を得る必要があるとの法改正がありました。
(https://www.mhlw.go.jp/content/001080850.pdf)
最新の2024年度版まとめシートでは以下の通り解説しています。
選択肢エ:誤りです。フレックスタイム制度を採用する場合には、労使協定で標準となる1 日の労働時間及び始業時刻と終業時刻を定めておく必要があります。
よって、この選択肢は×です。
以上から、正解は選択肢ウとなります。
なお、労働基準法とその他の労働関係法規は、例年5 問程度出題されます。基礎的な知識で解ける問題もありますが、社会保険労務士レベルの難しい問題が出題されることも多いため、試験対策上はあまり深入りせず、基本的なところを押さえるに留めておいた方が無難です。
本問は少しレベルの高い問題になりますので、特に初学者はまとめシートに掲載の範囲のみ覚えるようにしましょう。
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