今日は企業経営理論H27第26問について解説します。
H27 企業経営理論 第26問
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
Aさんはアウトドア・グッズを品揃えする専門店を営んでいる。単独店舗による経営で、従業者はAさんを含む3名である。開業時からスポーツ自転車を取り扱ってきたが、ここ数年の自転車ブームを受けて、「この小売店オリジナルの自転車や関連雑貨を用意してほしい」という顧客の声が目立っている。Aさんは、「①PB商品の品揃えは、大きな小売業者でなければ難しいのではないか」と思い込んでいたが、様々な事例を参考にすべく、関連するテーマの本や雑誌を読んだり、各地の小売業者に話を聞きに行ったりしながら、②自店のPB商品導入を検討している。(設問1)
文中の下線部①に示す「PB」に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア PB商品は、その登場から現代に至るまで、一貫して劣等財として消費者の間で普及している。
イ PB商品を販売することができるのは、小売業者に限られた特権である。
ウ PBは、パーソナル・ブランドの略称であり、ヨーロッパでは、オウン・ブランドと呼ばれることもある。
エ 品揃えにおけるPB商品の構成比が高まると、消費者の不満を招くことがある。(設問2)
文中の下線部②に関連して、小売業者のPB商品の一部導入に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア PB商品の導入によって、NB商品の一部が小売業者の店頭から姿を消すため、小売業者の独立性が低下する。
イ PB商品の導入によって、消化仕入れの取引条件を活用することが可能となり、在庫保有に起因する危険負担を軽減することができる。
ウ PB商品の導入によって、商圏内の競争関係にある店舗との間で、自らの店舗が独占的状況を作り出しやすくなる。
エ PB商品の導入によって、自らが価格設定を行う必要がなくなるので、仕入れに関する多くの業務を削減することができる。(設問3)
文中の下線部②に示す、Aさんの自店でのPB商品導入に向けた検討内容に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア Aさんの店舗でのPB商品の品揃えに協力を行う意思決定をした大手自転車メーカーの動機は、単品当たりのより高い粗利益額を得ることである。
イ Aさんの店舗では大量のPB商品を販売することは当面難しいが、有名メーカーのパーツを用いたPB商品や、ダブルチョップ方式で、実現可能であり、一定の売上を期待することができる。
ウ Aさんの店舗は小規模であるが、PB商品の自転車や関連商品を品揃えすることで、有名メーカーに対する強い交渉力を短期間で形成することができる。
エ Aさんの店舗は単独店舗での経営であるが、近隣に立地する複数の異業種の町工場と連携すれば、独自のPB自転車を低コストで容易に開発することができる。
解説
それでは早速各設問を見ていきましょう。
【設問1】
選択肢アは、「一貫して劣等財として消費者の間で普及している」とありますが、そんなことはなく、例えば、セブンイレブンのPBの「金の食パン」は、6枚入りで250円と通常商品の約2倍の価格でしたが、大ヒット商品となりました。このように、必ずしも劣等財とは言い切れないため、この選択肢は×と判断できます。
ちなみに、「その登場から現代に至るまで、一貫して」といったような極端な言葉が使われている選択肢はほとんどの場合が誤りの選択肢ですので、極端な記述を見たらまず疑って見るようにしましょう。
選択肢イは、「小売業者に限られた特権」とこれも極端な書きぶりですが、PBを販売するのは小売業者だけでなく、卸売業者も販売する場合があるため×です。
選択肢ウについて、PBは「プライベート・ブランド」の略ですので×です。
選択肢エはその通りで、PBばかりになってしまうと、消費者は不満を抱いてしまうことがあります。消費者として自分がコンビニなどに行ったとき、棚にPB商品しかなかったら「えっ・・・」と思ってしまいますよね。
以上から、設問1の正解は選択肢エとなります。
【設問2】
選択肢アは、「小売業者の独立性が低下する」とありますが、そんなことはなく、PBはそれを取り扱っている小売業者独自のものですので、独立性は高まります。よってこの選択肢は×です。
選択肢イは、「在庫保有に起因する危険負担を軽減することができる」とありますが、PBは小売業者からメーカーに発注して、独自の商品を作るものですので、在庫リスクは軽減されず、むしろ高まります。よってこの選択肢は×です。
選択肢ウは、その通りで、もし大ヒットするPB商品を作ることができたら、独占的な状況を作り出しやすくなります。
選択肢エは、「自らが価格設定を行う必要がなくなる」とありますが、逆に自社で価格設定を行わないといけなくなりますので×です。
以上から、設問2の正解は選択肢ウとなります。
【設問3】
選択肢アについて、PB製品を製造するメーカーは、より高い粗利益額というよりは、生産設備の稼働率向上などを目的とする場合が多いため、この選択肢は×と考えられます。
選択肢イはその通りで、特に問題のある記述はありません。
念のため残りの選択肢を確認してみます。
選択肢ウは、「有名メーカーに対する強い交渉力を短期間で形成することができる」とこれも極端な表現が使われていますが、さすがにそんなことはありません。よって、この選択肢は×と考えられます。
選択肢エも、「独自のPB自転車を低コストで容易に開発することができる」と極端な表現が使われています。こちらについても、それができたらどの会社も苦労しませんので、この選択肢は×と考えられます。
以上から、設問3の正解は選択肢イとなります。
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