今日は、宅地建物取引士試験 令和5年度 第30問について解説します。
★出題テーマ【宅建業法-営業保証金】★
宅地建物取引業者A(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。なお、Aは宅地建物取引業保証協会の社員ではないものとする。
ア Aが免許を受けた日から6か月以内に甲県知事に営業保証金を供託した旨の届出を行わないとき、甲県知事はその届出をすべき旨の催告をしなければならず、当該催告が到達した日から1か月以内にAが届出を行わないときは、その免許を取り消すことができる。
イ Aは、営業保証金を供託したときは、その供託物受入れの記載のある供託書の写しを添付して、その旨を甲県知事に届け出なければならず、当該届出をした後でなければ、その事業を開始することができない。
ウ Aは、営業保証金が還付され、甲県知事から営業保証金が政令で定める額に不足が生じた旨の通知を受け、その不足額を供託したときは、30日以内に甲県知事にその旨を届け出なければならない。
エ Aが免許失効に伴い営業保証金を取り戻す際、供託した営業保証金につき還付を受ける権利を有する者に対し、3か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、期間内にその申出がなかった場合でなければ、取り戻すことができない。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
解説
営業保証金に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ア
Aが免許を受けた日から6か月以内に甲県知事に営業保証金を供託した旨の届出を行わないとき、甲県知事はその届出をすべき旨の催告をしなければならず、当該催告が到達した日から1か月以内にAが届出を行わないときは、その免許を取り消すことができる。
×不適切です。
免許を受けた宅建業者が3か月以内に営業保証金の供託を届け出ない場合、免許権者は届出をすべき旨の催告をしなければなりません。
催告が到達した日から1か月以内に宅建業者からの届出がなければ、免許権者はその免許を取り消すことができます。
つまり、Aが免許を受けた日から3か月以内に甲県知事に営業保証金を供託した旨の届出を行わないとき、甲県知事はその届出をすべき旨の催告をしなければならず、当該催告が到達した日から1か月以内にAが届出を行わないときは、その免許を取り消すことができます。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 イ
Aは、営業保証金を供託したときは、その供託物受入れの記載のある供託書の写しを添付して、その旨を甲県知事に届け出なければならず、当該届出をした後でなければ、その事業を開始することができない。
〇適切です。
宅建業者は免許取得後、営業保証金を供託し、その受入れが記載された供託書の写しを添えて、免許権者に届け出る必要があります。 この届出をした後でなければ、事業を開始することはできません。 選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ウ
Aは、営業保証金が還付され、甲県知事から営業保証金が政令で定める額に不足が生じた旨の通知を受け、その不足額を供託したときは、30日以内に甲県知事にその旨を届け出なければならない。
×不適切です。
営業保証金が還付されて、供託している額に不足が生じた場合には、免許権者から不足が生じた旨の通知を受けた日から2週間以内に、その不足額を供託しなければなりません。
また、補充供託した日から2週間以内に、その受入れが記載された供託書の写しを添えて、免許権者に届け出る必要があります。
つまり、Aは、営業保証金が還付され、甲県知事から営業保証金が政令で定める額に不足が生じた旨の通知を受け、その不足額を供託したときは、2週間以内に甲県知事にその旨を届け出なければなりません。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 エ
Aが免許失効に伴い営業保証金を取り戻す際、供託した営業保証金につき還付を受ける権利を有する者に対し、3か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、期間内にその申出がなかった場合でなければ、取り戻すことができない。
×不適切です。
免許が失効した場合、供託した営業保証金を取り戻すことができます。
営業保証金を取り戻す際には、還付を受ける権利がある者に対して、6か月を下らない(つまり6か月以上)一定期間内に申し出るべき旨を公告する義務があり、その期間内に申し出がなかった場合でなければ取り戻すことができないとされています。
つまり、Aが免許失効に伴い営業保証金を取り戻す際、供託した営業保証金につき還付を受ける権利を有する者に対し、6か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、期間内にその申出がなかった場合でなければ、取り戻すことができません。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正しい選択肢はイの1つのみですので、正解は選択肢①となります。
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