今日は、宅地建物取引士試験 令和5年度 第12問について解説します。
★出題テーマ【権利関係-賃貸借】★
令和5年7月1日に締結された建物の賃貸借契約(定期建物賃貸借契約及び一時使用目的の建物の賃貸借契約を除く。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
① 期間を1年未満とする建物の賃貸借契約は、期間を1年とするものとみなされる。
② 当事者間において、一定の期間は建物の賃料を減額しない旨の特約がある場合、現行賃料が不相当になったなどの事情が生じたとしても、この特約は有効である。
③ 賃借人が建物の引渡しを受けている場合において、当該建物の賃貸人が当該建物を譲渡するに当たり、当該建物の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及び当該建物の譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は譲受人に移転しない。
④ 現行賃料が定められた時から一定の期間が経過していなければ、賃料増額請求は、認められない。
解説
賃貸借契約に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ①
期間を1年未満とする建物の賃貸借契約は、期間を1年とするものとみなされる。
×不適切です。
普通建物賃貸借契約では、契約期間を定めることもできますし、期間を定めない契約も有効です。
契約期間を1年未満とした場合には、期間の定めがないものとみなされます。
つまり、期間を1年未満とする建物の賃貸借契約は、契約期間の定めがないものとみなされます。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
当事者間において、一定の期間は建物の賃料を減額しない旨の特約がある場合、現行賃料が不相当になったなどの事情が生じたとしても、この特約は有効である。
×不適切です。
借主の不利な内容となる特約は、無効となります。減額しない旨の特約は、借主にとって不利になるものですので、無効となります。 つまり、当事者間において、一定の期間は建物の賃料を減額しない旨の特約がある場合、現行賃料が不相当になったなどの事情の有無にかかわらず、この特約は無効です。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
賃借人が建物の引渡しを受けている場合において、当該建物の賃貸人が当該建物を譲渡するに当たり、当該建物の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及び当該建物の譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は譲受人に移転しない。
〇適切です。
原則として、借主へ建物の引渡しが完了しているときに、所有者が変わった場合は、貸主の地位も新しい所有者に移転します。
ただし、賃貸物件の譲渡人(元の所有者)と譲受人(新しい所有者)の間で、貸主の地位を譲渡人に留保することの合意と、譲渡人に賃貸物件を賃貸することの合意があれば、貸主の地位は譲受人に移転することなく、譲渡人に留保されることになります。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
現行賃料が定められた時から一定の期間が経過していなければ、賃料増額請求は、認められない。
×不適切です。
賃料の増減額請求は、賃料が定められてから一定期間が経過していなくても、賃料が不相当となったときに認められます。
つまり、現行賃料が定められた時から一定の期間が経過していなくても、賃料が不相当となったときには、賃料増額請求は、認められます。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢③となります。
一目でわかる!覚えてしまう!「宅地建物取引士 一発合格まとめシート」は、2025年秋に発売予定です!
好評発売中の「賃貸不動産経営管理士 一発合格まとめシート」は、ここから立ち読みできますので、ぜひ試してみてくださいね。
2024年度版 一発合格まとめシート
好評発売中!