今日は、宅地建物取引士試験 令和1年度 第43問について解説します。

 

★出題テーマ【宅建業法-免許基準】★

令和1年度宅地建物取引士試験 第43

宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

 

①  免許を受けようとする法人の非常勤役員が、刑法第246条(詐欺)の罪により懲役1年の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過していなくても、当該法人は免許を受けることができる。

 

②  免許を受けようとする法人の政令で定める使用人が、刑法第252条(横領)の罪により懲役1年執行猶予2年の刑に処せられ、その刑の執行猶予期間を満了している場合、その満了の日から5年を経過していなくても、当該法人は免許を受けることができる。

 

③ 免許を受けようとする法人の事務所に置く専任の宅地建物取引士が、刑法第261条(器物損壊等)の罪により罰金の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過していない場合、当該法人は免許を受けることができない。

 

④ 免許を受けようとする法人の代表取締役が、刑法第231条(侮辱)の罪により拘留の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過していない場合、当該法人は免許を受けることができない。

 

 

 

解説

免許基準(欠格要件)に関する問題です。

 

それではさっそく選択肢をみていきましょう。

 


選択肢 ①

免許を受けようとする法人の非常勤役員が、刑法第246条(詐欺)の罪により懲役1年の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過していなくても、当該法人は免許を受けることができる

 

×不適切です。

どのような犯罪であっても、禁錮刑以上の刑に処せられた者は、刑の執行が終了した日、または執行を受けることがなくなった日から5年間経過していない場合、免許の欠格要件に該当し、免許を受けることができません。

(禁錮刑以上の刑とは、死刑、懲役刑、禁錮刑の3つが該当します。)

法人の場合、役員または政令で定める使用人(事務所の代表者など)が欠格要件に該当する場合、免許を受けることができません。なお、非常勤役員であっても、役員に含まれます。

つまり、免許を受けようとする法人の非常勤役員が、刑法第246条(詐欺)の罪により懲役1年の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過していない場合は、当該法人は免許を受けることができません。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ②

免許を受けようとする法人の政令で定める使用人が、刑法第252条(横領)の罪により懲役1年執行猶予2年の刑に処せられ、その刑の執行猶予期間を満了している場合、その満了の日から5年を経過していなくても、当該法人は免許を受けることができる。

 

〇適切です。

執行猶予付きの懲役刑の場合、執行猶予期間中は刑の効力がある状態ですので、免許を受けることができません。

ただし、執行猶予が満了すれば、免許待機期間はなく、すぐに免許を受けることができます。

選択肢の説明通り、免許を受けようとする法人の政令で定める使用人が、刑法第252条(横領)の罪により懲役1年執行猶予2年の刑に処せられ、その刑の執行猶予期間を満了している場合には、欠格要件に該当せず、5年を経過していなくても当該法人は免許を受けることができますので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ③

免許を受けようとする法人の事務所に置く専任の宅地建物取引士が、刑法第261条(器物損壊等)の罪により罰金の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過していない場合、当該法人は免許を受けることができない

 

×不適切です。

器物損壊罪による罰金刑は、宅建士の欠格要件には該当せず、器物損壊罪による罰金刑を受けたことのみでは宅建士登録を消除されることはありません。

そのため、器物損壊罪による罰金刑を受けた宅建士であっても、専任の宅建士として宅建業務に従事することが可能です。

つまり、免許を受けようとする法人の事務所に置く専任の宅地建物取引士が、刑法第261条(器物損壊等)の罪により罰金の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過していない場合でも、当該法人は免許を受けることができますよってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ④

免許を受けようとする法人の代表取締役が、刑法第231条(侮辱)の罪により拘留の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過していない場合、当該法人は免許を受けることができない

 

×不適切です。

拘留の刑に処せられた場合は、宅建業法上の免許欠格事由には該当しません。

欠格要件となるのは、宅建業法や暴対法違反、傷害罪や暴行罪や脅迫罪などの暴力的犯罪、背任罪などで罰金刑を受けた場合や、罪名を問わず禁錮刑以上の刑に処せられた場合です。

つまり、免許を受けようとする法人の代表取締役が、刑法第231条(侮辱)の罪により拘留の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過していない場合であっても、当該法人は免許を受けることができます。よってこの選択肢は不適切です。

 


 

以上から、正解は選択肢②となります。

 

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【刑法上の罰則について】

刑罰は、重い順に死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料があります。

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