今日は、令和5年度 第16問について解説します。
屋根や外壁等の劣化と点検に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
①傾斜屋根には、金属屋根、スレート屋根などがあり、経年劣化により屋根表面にコケ・カビ等が発生したり、塗膜の劣化による色あせ等が起きたりするので、概ね3年前後での表面塗装の補修が必要である。
②陸屋根では、風で運ばれた土砂が堆積したり、落ち葉やゴミが排水口等をふさぐことがあるが、それが原因で屋上の防水機能が低下することはない。
③コンクリート打ち放しの場合、外壁表面に発生した雨水の汚れやコケ・カビ、塩害や中性化の問題があるが、美観上の問題であり、定期的な点検は必要ない。
④ルーフバルコニーでは、防水面の膨れや亀裂、立ち上がりのシーリングの劣化などが発生するので、定期的な点検や補修が必要である。
解説
建物の屋根・外壁に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢①
傾斜屋根には、金属屋根、スレート屋根などがあり、経年劣化により屋根表面にコケ・カビ等が発生したり、塗膜の劣化による色あせ等が起きたりするので、概ね3年前後での表面塗装の補修が必要である。
×不適切です。
傾斜屋根は、傾斜のある屋根のことで、勾配屋根とも呼ばれます。
概要、メンテナンス等について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
表面塗装は10年前後と書いていますね。
つまり、傾斜屋根には、金属屋根、スレート屋根などがあり、経年劣化により屋根表面にコケ・カビ等が発生したり、塗膜の劣化による色あせ等が起きたりするので、概ね10年前後での表面塗装の補修が必要です。よってこの選択肢は不適切です。
ちなみに、スレート屋根は、薄い板状の屋根材が張り合わさっているのが特徴で、軽量で比較的安価でデザインも豊富なため、広く普及しています。代表的な商品に「カラーベスト」というものがあります。
選択肢②
陸屋根では、風で運ばれた土砂が堆積したり、落ち葉やゴミが排水口等をふさぐことがあるが、それが原因で屋上の防水機能が低下することはない。
×不適切です。
陸屋根(ろくやね、りくやね)は、勾配のない屋根です。
概要、メンテナンス等について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
陸屋根には防水層を施しています。勾配がなく平坦なため、土砂が堆積したり、落ち葉やごみがたまり排水口(ルーフドレイン)がふさがれることがあり、それが原因で防水層を破壊することにつながります。
つまり、陸屋根では、風で運ばれた土砂が堆積したり、落ち葉やゴミが排水口等をふさぐことがあり、それが原因で屋上の防水機能が低下することがあります。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢③
コンクリート打ち放しの場合、外壁表面に発生した雨水の汚れやコケ・カビ、塩害や中性化の問題があるが、美観上の問題であり、定期的な点検は必要ない。
×不適切です。
コンクリート打ち放し外壁の概要、メンテナンス等について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
コンクリート打ち放しの外壁は洗練されていてかっこいいですよね。確かに、コケやカビがあると美観を損ねてしまいますね。ただし、美観上の問題だけではなく、コンクリートの損傷や内部の鉄筋の腐食をまねき、漏水の原因になったり、建物の劣化の原因になります。
つまり、コンクリート打ち放しの場合、外壁表面に発生した雨水の汚れやコケ・カビ、塩害や中性化の問題があるが、建物の劣化等につながるため、定期的な点検が必要です。
選択肢④
ルーフバルコニーでは、防水面の膨れや亀裂、立ち上がりのシーリングの劣化などが発生するので、定期的な点検や補修が必要である。
〇適切です。
ルーフバルコニーとは、階下の屋根部分を利用して設けられたバルコニーのことです。構造上陸屋根と似ていて、屋根機能としての維持管理についても陸屋根と同様に重要です。ルーフバルコニーの防水面に膨れや亀裂、立ち上がりのシーリングに劣化がないかを定期的に点検し、必要に応じた補修が必要です。
よってこの選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢④となります。
建物の屋根や外壁に関する問題は、例年出題されています。維持管理のための、点検や修繕、劣化現象についてがよく出題されています。
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