今日は、令和5年度 第39問について解説します。

令和5年度賃貸不動産経営管理士試験 第39問

特定賃貸借標準契約書(国土交通省不動産・建設経済局令和3年4月23日更新)に準拠して特定賃貸借契約を締結した場合における次の記述のうち、誤っているものはどれか。

①貸主は、借主が建物の維持保全を行うために必要な情報を提供しなければならない。
②借主は、貸主が承諾した場合であっても、賃借権の一部を反社会的勢力に譲渡することはできない。
③借主は、清掃業務を第三者に再委託することができる。
④借主は、建物の維持保全の実施状況について、貸主と合意した頻度で報告の期日を定めた場合は、それ以外の時期に貸主から求められても実施状況について報告する必要はない。

 

解説

特定賃貸借標準契約書に関する問題です。

 

まずはこの問題における基本的な前提からおさえておきましょう。
特定賃貸借契約とは、第三者に転貸する事業を営むことを目的として締結される賃貸住宅契約のことです。営利目的で反復して転貸する事業者は特定転貸事業者(サブリース業者)といい、特定賃貸借契約は貸主(オーナー)とサブリース業者との間で締結されるものです。

特定賃貸借契約のひな形として、国土交通省が提供しているものが、この問題文にある「特定賃貸借標準契約書」です。

下のリンクから、ダウンロード可能ですので、あわせてご確認いただくとより理解が深まります。

国土交通 省特定賃貸借標準契約書 【PDF版】(令和3年4月23日更新)

 

それでは選択肢をみていきましょう。

選択肢①

「適切」

まとめシートでは以下のように解説しています。

「貸主は、借主が物件の適切な維持保全を行うために必要な情報を提供する」とありますね。よってこの選択肢は適切です。

この内容は、特定賃貸借標準契約書の第3条(引渡し)の2項に記載があります。また、第10条(乙が行う維持保全の実施方法)の5項には、「貸主は、借主が管理業務を行うために必要な情報を提供しなければならない」との記載もあります。

①オーナーはサブリース業者が必要な情報を提供する必要があること

②提供しないせいでサブリース業者に生じた損害はオーナーが負担するということ

この2点をおさえておきましょう。

 

選択肢②

「適切」

特定賃貸借標準契約書の第8条(反社会的勢力の排除)の2項に「借主は、貸主の承諾の有無にかかわらず、本物件の全部又は一部につき、反社会的勢力に賃借権を譲渡してはならない」との記載があります。よってこの選択肢は適切です。

このような「反社会的勢力排除条項」は、取引から反社会的勢力を排除するために、多くの契約書に記載されています。反社会的勢力を排除するためには、例えオーナーが認めていたとしても、反社会的勢力に部屋を貸すことは許されませんよね。

 

選択肢③

「適切」

特定賃貸借標準契約書の第10条(乙が行う維持保全の実施方法)の2項に「借主は、維持保全業務の一部を他の者に再委託することができる」との記載があります。

清掃業務は、維持保全業務の一環ですので、この選択肢は適切です。

なお、維持保全業務の全部を第三者に再委託してはならないともされていますので(第10条3項)あわせておさえておきたいですね。

 

選択肢④

「不適切」

まとめシートでは以下のように解説しています。

「貸主は必要なとき、借主に対し、維持保全の実施状況に関して報告を求めることができる」とありますね。選択肢では、決められた期日以外に貸主から求められても、報告する「必要はない」としていますので、この点が誤りです。よってこの選択肢は不適切です。

 

以上から、正解は選択肢④となります。

 

特定賃貸借標準契約書については、R5、R4年度試験では1問、R3年度試験では3問出題されているテーマです。

R6年度試験においても出題可能性が高いですので、本ブログが試験対策にお役に立てれば幸いです。

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