今日は、令和6年度 第34問について解説します。

令和6年度賃貸不動産経営管理士試験 第34

特定賃貸借標準契約書(国土交通省不動産・建設経済局令和3年4月23日更新)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 

①  借主は、転借人(入居者)との間で転貸借契約を締結する際、当該契約自体も借地借家法が適用される賃貸借契約であることを明示することで、当該契約が転貸借契約であることの転借人への開示を省略できるとされている。

②  借主が転借人(入居者)との間で転貸借契約を締結する場合、借主が承諾しない限り転借人が建物を反社会的勢力に再転貸してはならないという内容を、転貸の条件としなければならないとされている。

③  特定賃貸借契約が契約の解除により終了した場合、貸主は、転貸借契約における転貸人の地位を承継するかどうかを選択することができるとされている。

④  貸主が、借主に対し、民泊事業としての使用を目的とした転貸を許容する場合、住宅宿泊事業法に基づく事業か、国家戦略特区法に基づく外国人滞在施設経営事業かの別を明記する必要があるとされている。

 

 

解説

特定賃貸借標準契約書に関する問題です。

 

特定賃貸借契約のひな形として、国土交通省が提供しているものが「特定賃貸借標準契約書」です。
下のリンクから、ダウンロード可能ですので、あわせてご確認いただくとより理解が深まります。

国土交通省特定賃貸借標準契約書 【PDF版】(令和3年4月23日更新)

 

それではさっそく選択肢を確認しましょう。

 


選択肢 ①

借主は、転借人(入居者)との間で転貸借契約を締結する際、当該契約自体も借地借家法が適用される賃貸借契約であることを明示することで、当該契約が転貸借契約であることの転借人への開示を省略できるとされている

 

×不適切です

特定賃貸借標準契約書では、転貸借契約であることを転借人に対して開示することとされています。

具体的には、【頭書(8)転貸の条件】に以下のとおり明記されています。

転貸借契約において定めるべき事項:乙は、転借人(入居者)との間で転貸借契約を締結するに際し、当該契約が転貸借契約であることを転借人に開示するとともに、本契約第9条第2項、第12条及び第21条に規定する内容を契約条項とすること。

 

また、契約締結前の重要事項説明事項に「借地借家法その他特定賃貸借契約に係る法令に関する事項の概要」が含まれており、当該契約自体が借地借家法が適用される旨を説明する必要があります。

特定賃貸借標準契約書においても、重要事項説明で説明した家賃の減額の可能性や借地借家法第32条の規定適用等について、改めて記載しておくことが望ましいとされています。(《特定賃貸借標準契約書 解説コメント》より)

つまり、借主は、転借人(入居者)との間で転貸借契約を締結する際、当該契約自体も借地借家法が適用される賃貸借契約であることをあらためて明示することが望ましいとされています。また、それとは別に当該契約が転貸借契約であることの転借人への開示が必要です。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ②

借主が転借人(入居者)との間で転貸借契約を締結する場合、借主が承諾しない限り転借人が建物を反社会的勢力に再転貸してはならないという内容を、転貸の条件としなければならないとされている。

 

×不適切です

貸主は、転貸の条件に従って借主が転貸することを承諾するものとされています。

ただし、特定賃貸借標準契約書では、借主(転借人)承諾の有無にかかわらず、建物を反社会的勢力に転借権を譲渡し、または再転貸してはならないとされており、反社会的勢力の排除について明確にされています。

つまり、借主が転借人(入居者)との間で転貸借契約を締結する場合、借主の承諾の有無にかかわらず、建物を反社会的勢力に転借権を譲渡し、または再転貸してはならないという内容を、転貸の条件としなければならないとされています。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ③

特定賃貸借契約が契約の解除により終了した場合、貸主は、転貸借契約における転貸人の地位を承継するかどうかを選択することができるとされている

 

×不適切です

特定賃貸借標準契約書では、特定賃貸借契約が終了した場合には、貸主が転貸人の地位を当然に承継するものとされています。

つまり、特定賃貸借契約が契約の解除により終了した場合、貸主は、転貸借契約における転貸人の地位を当然に承継するものとされています。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ④

貸主が、借主に対し、民泊事業としての使用を目的とした転貸を許容する場合、住宅宿泊事業法に基づく事業か、国家戦略特区法に基づく外国人滞在施設経営事業かの別を明記する必要があるとされている。

 

〇適切です。

借主が民泊目的で転貸することができるか否かは、頭書に記載がある「転貸の条件」欄に、可否のいずれかを選択し、チェックを入れる方式になっています。

また、民泊事業としての使用を目的とした転貸を許容する場合には、住宅宿泊事業法に基づく事業か、国家戦略特区法に基づく外国人滞在施設経営事業かの別を併せて明記できるようになっています。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


 

以上から、正解は選択肢④となります。

選択肢①については、少し難易度が高いと感じた方もいるかもしれませんね。

選択肢④については、すでに令和4年度第41問を学習した方はすぐに分かったかもしれませんが、そうではない方にとっては難しいと感じたかもしれません。

 

ぜひ関連解説もあわせてご確認いただければと思います。

 

★関連解説★

特定賃貸借標準契約書(R3年 第33問)

特定賃貸借標準契約書(R3年 第34問)

特定賃貸借標準契約書(R4年 第41問)

特定賃貸借標準契約書(R5年 第39問)

 

 

 

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