今日は、令和6年度 第31問について解説します。
賃貸住宅管理業法に基づく業務管理者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
① 電話の取次ぎのみを行い、管理業務を行っていない施設であっても、賃貸住宅管理業者の従業員が業務に従事している施設である以上、業務管理者を置かなければならない。
② 営業所又は事務所ごとに配置が義務付けられる業務管理者の人数は、営業所又は事務所の管理業務に従事する従業員の人数によって異なる。
③ 賃貸住宅管理業者は、営業所の業務管理者として選任した者の全てが欠けるに至ったときは、新たに業務管理者を選任するまでの間は、その営業所において管理受託契約を締結してはならない。
④ 宅地建物取引業を営む事務所における専任の宅地建物取引士は、業務管理者を兼務することができない。
解説
業務管理者に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
電話の取次ぎのみを行い、管理業務を行っていない施設であっても、賃貸住宅管理業者の従業員が業務に従事している施設である以上、業務管理者を置かなければならない。
×不適切です
管理受託契約の締結や、維持保全の手配、家賃等の金銭の管理の業務が行われ、継続的に賃貸住宅管理業の営業の拠点となる施設として実態を有するものが、賃貸住宅管理業法上の営業所や事務所に該当します。
電話の取次ぎのみを行う施設、維持保全業務に必要な物品等の置き場などの施設については、営業所又は事務所には該当しませんので、業務管理者の配置義務の対象とはなりません。
つまり、電話の取次ぎのみを行い、管理業務を行っていない施設であれば、賃貸住宅管理業者の従業員が業務に従事している施設であっても、業務管理者を置く必要はありません。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
営業所又は事務所ごとに配置が義務付けられる業務管理者の人数は、営業所又は事務所の管理業務に従事する従業員の人数によって異なる。
×不適切です
賃貸住宅管理業法では、賃貸住宅管理業者は、営業所や事務所ごとに1人以上の業務管理者を選任しなければならないと定めています。
つまり、営業所又は事務所ごとに配置が義務付けられる業務管理者の人数は、1人以上と定められています。
なお、営業所や事務所によって、管理戸数や従事する従業員の人数は異なるため、国土交通省では、管理業務等の質を担保するために必要な指導、管理・監督を行うことができるだけの人数の業務管理者を配置することを推奨しています。
ただし、これはあくまで推奨であり、法令上は「1人以上」の配置義務が規定されていることと混同しないようにしましょう。
選択肢 ③
賃貸住宅管理業者は、営業所の業務管理者として選任した者の全てが欠けるに至ったときは、新たに業務管理者を選任するまでの間は、その営業所において管理受託契約を締結してはならない。
〇適切です。
業務管理者として選任した者が登録拒否事由に該当するときや、選任した業務管理者の全ての者が欠けたときは、新たに業務管理者を選任するまでの間は管理受託契約を締結することができません。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
なお、賃貸住宅の管理業務については、業務管理者が欠けているときでも行うことができます。
選択肢 ④
宅地建物取引業を営む事務所における専任の宅地建物取引士は、業務管理者を兼務することができない。
×不適切です
業務管理者が宅地建物取引士も兼務する等他の業務を兼務することが法違反となるものではありません。
つまり、宅地建物取引業を営む事務所における専任の宅地建物取引士は、業務管理者を兼務することができます。
ただし、入居者の居住の安定の確保等の観点から、賃貸住宅管理業者の従業員が行う管理業務等について必要な指導、管理、及び監督の業務に従事できる必要があるとされています。
以上から、正解は選択肢③となります。
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