今日は、令和6年度 第14問について解説します。
建物の外壁の定期調査についての建築基準法等の運用に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
① 外壁仕上げ材等の定期調査では、外壁タイル、石張り、モルタル等の劣化及び損傷の状況について、概ね6か月から3年以内に一度行う手の届く範囲の打診に加え、概ね10年に一度、全ての壁面について全面打診等を行うこととされている。
② 3年以内に外壁改修を行うことが確実である場合であっても、全面打診を行うこととされている。
③ 竣工後5年以内の建物の外壁タイル等については、剥離の有無等を確認する調査方法として、双眼鏡等による目視は認められていない。
④ 打診以外の外壁の調査方法には、地上に設置した赤外線装置による赤外線調査等があるが、無人航空機による赤外線調査についても、一定の実施要領にのっとれば、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するものとされている。
解説
外壁の調査に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
外壁仕上げ材等の定期調査では、外壁タイル、石張り、モルタル等の劣化及び損傷の状況について、概ね6か月から3年以内に一度行う手の届く範囲の打診に加え、概ね 10 年に一度、全ての壁面について全面打診等を行うこととされている。
×不適切です
外装仕上げ材等におけるタイル、石貼り等(乾式工法によるものを除く。)、モルタル等の劣化及び損傷の状況の調査については、おおむね6か月から3年以内に一度の手の届く範囲の打診等に加え、おおむね10年に一度、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的な打診等を行うこととされています。
つまり、外壁仕上げ材等の定期調査では、外壁タイル、石張り、モルタル等の劣化及び損傷の状況について、概ね6か月から3年以内に一度行う手の届く範囲の打診に加え、概ね10年に一度、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面打診等を行うこととされています。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
3年以内に外壁改修を行うことが確実である場合であっても、全面打診を行うこととされている。
×不適切です
3年以内に外壁改修等が行われることが確実である場合や、歩行者などの安全を確保するための対策を講じている場合は、全面打診は免除されます。
つまり、3年以内に外壁改修を行うことが確実である場合であれば、全面打診を行うことが免除されます。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
竣工後5年以内の建物の外壁タイル等については、剥離の有無等を確認する調査方法として、双眼鏡等による目視は認められていない。
×不適切です
竣工後10年を超えていない場合の外壁タイル等については、剥落の有無を確認するため手に届く範囲の打診ならびに双眼鏡などによる目視を行うこととされています。
つまり、竣工後5年以内の建物の外壁タイル等については、剥離の有無等を確認する調査方法として、双眼鏡等による目視も認められています。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ④
打診以外の外壁の調査方法には、地上に設置した赤外線装置による赤外線調査等があるが、無人航空機による赤外線調査についても、一定の実施要領にのっとれば、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するものとされている。
〇適切です。
赤外線調査は、外壁の劣化状況を非接触で把握する方法の一つとして利用されます。
近年では、無人航空機(ドローン)による赤外線調査も、一定の実施要領を満たせば、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するとされています。
選択肢の説明の通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢④となります。
本問、とくに選択肢①は、公式テキストに記載されている内容よりも詳細な知識を求められているため、難しいと感じても仕方ないと考えます。
なお、本問の解説は、国土交通省のサイトを参考に掲載させていただきました。
国土交通省HP 定期報告制度における外壁のタイル等の調査について
こちらのサイトでは、外壁タイル等の調査について詳しく解説されています。
この問題が難しいと感じた方は、一度目を通してみると理解が深まるでしょう。
令和5年度以前には、本問よりも基礎的な問題が出題されていますので、ぜひ関連解説もあわせてご確認いただければと思います。
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