今日は、令和6年度 第11問について解説します。

令和6年度賃貸不動産経営管理士試験 第11

賃貸住宅における原状回復に係る少額訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

 

ア  少額訴訟では、裁判所は、原告の主張を認める場合でも、支払猶予の判決を言い渡すことができる。

 

イ  賃貸人から請求された原状回復費用 50万円を賃借人が支払わず立ち退きもしない場合、賃貸人は、少額訴訟により、50 万円の支払及び明渡しを請求することができる。

 

ウ  少額訴訟では、1回の審理で判決が言い渡され、訴訟の途中で和解による解決はできない。

 

エ 少額訴訟の判決に対して不服がある場合は、地方裁判所に控訴することができる。

 

1  1つ

2  2つ

3  3つ

4  4つ

 

 

解説

少額訴訟に関する問題です。

少額訴訟とは、簡易裁判所が管轄する少額の訴訟です。

それではさっそく選択肢をみていきましょう。


 

選択肢 ア

少額訴訟では、裁判所は、原告の主張を認める場合でも、支払猶予の判決を言い渡すことができる。

 

〇適切です。

少額訴訟では、裁判所は原告の請求を認める場合でも、必要に応じて、判決の言い渡しの日から3年を超えない範囲内で、支払の猶予もしくは分割払いの定めをすることができます。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 

 


選択肢 イ

賃貸人から請求された原状回復費用 50 万円を賃借人が支払わず立ち退きもしない場合、賃貸人は、少額訴訟により、50 万円の支払及び明渡しを請求することができる

 

×不適切です。

少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払い請求を目的とするもので、建物の明渡し請求はできません。

つまり、賃貸人から請求された原状回復費用 50 万円を賃借人が支払わず立ち退きもしない場合、賃貸人は、少額訴訟により、50 万円の支払を請求することができます。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ウ

少額訴訟では、1回の審理で判決が言い渡され、訴訟の途中で和解による解決はできない

 

×不適切です。

少額訴訟は、少額訴訟は原則1回の審理で判決が言い渡される制度ですが、裁判の途中で和解による解決も可能です。

つまり、少額訴訟では、1回の審理で判決が言い渡され、訴訟の途中で和解による解決も可能です。よってこの選択肢は不適切です。

 

 


選択肢 エ

少額訴訟の判決に対して不服がある場合は、地方裁判所に控訴することができる

 

×不適切です。

少額訴訟の判決に不服がある場合、通常の訴訟のように控訴することができません。

判決をした簡易裁判所に対する異議申し立てについては認められています。

つまり、少額訴訟の判決に対して不服がある場合は、簡易裁判所に対して異議申し立てをすることができます(地方裁判所に控訴することはできません)。よってこの選択肢は不適切です。

 

 


 

以上から、正しい選択肢はアの1つのみですので、正解は選択肢①1つ となります。

 

ぜひ関連解説もあわせて理解を深めていただければと思います。

 

★関連解説★

建物明渡しの債務名義(R2年 第29問)

 

 

2024年度版 一発合格まとめシート
2025年版は準備中です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA