今日は、宅地建物取引士試験 令和5年度 第31問について解説します。
★出題テーマ【宅建業法-業務上の規制】★
宅地建物取引業者がその業務に関して行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において「建築確認」とは、建築基準法第6条第1項の確認をいうものとする。
① 宅地又は建物の売買に関する注文を受けたときは、遅滞なくその注文をした者に対して取引態様の別を明らかにしなければならないが、当該注文者が事前に取引態様の別を明示した広告を見てから注文してきた場合においては、取引態様の別を遅滞なく明らかにする必要はない。
② 既存の住宅に関する広告を行うときは、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施しているかどうかを明示しなければならない。
③ これから建築工事を行う予定である建築確認申請中の建物については、当該建物の売買の媒介に関する広告をしてはならないが、貸借の媒介に関する広告はすることができる。
④ 販売する宅地又は建物の広告に関し、著しく事実に相違する表示をした場合、監督処分の対象となるだけでなく、懲役若しくは罰金に処せられ、又はこれを併科されることもある。
解説
業務上の規制に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ①
宅地又は建物の売買に関する注文を受けたときは、遅滞なくその注文をした者に対して取引態様の別を明らかにしなければならないが、当該注文者が事前に取引態様の別を明示した広告を見てから注文してきた場合においては、取引態様の別を遅滞なく明らかにする必要はない。
×不適切です。
宅建業者は、広告を行う際や取引の注文を受けたときに、取引態様の別を明示しなければなりません。
広告をするときと注文を受けたときのそれぞれに明示義務が課されているため、取引態様を明示した広告を見た者から取引に関する注文を受けた場合でも、改めて取引態様の別を明示しなければなりません。
つまり、宅地又は建物の売買に関する注文を受けたときは、遅滞なくその注文をした者に対して取引態様の別を明らかにしなければならず、当該注文者が事前に取引態様の別を明示した広告を見てから注文してきた場合であっても、改めて取引態様の別を遅滞なく明らかにする必要があります。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
既存の住宅に関する広告を行うときは、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施しているかどうかを明示しなければならない。
×不適切です。
広告を行う際には、一定の事項を明示する義務がありますが、既存の建物の広告を行う際、建物状況調査を実施しているかどうかについては、明示する必要はありません。
つまり、既存の住宅に関する広告を行うときは、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施しているかどうかを明示する必要はありません。よってこの選択肢は不適切です。
建物状況調査の実施状況については、重要事項説明の説明事項になっています。それと混同しないよう注意しましょう。
選択肢 ③
これから建築工事を行う予定である建築確認申請中の建物については、当該建物の売買の媒介に関する広告をしてはならないが、貸借の媒介に関する広告はすることができる。
×不適切です。
取引態様にかかわらず、一定の許可等の処分があった後でなければ、未完成物件の広告をすることはできません。
つまり、これから建築工事を行う予定である建築確認申請中の建物については、当該建物の売買の媒介に関する広告をしてはならなず、貸借の媒介に関する広告もすることができません。よってこの選択肢は不適切です。
なお、そもそも宅建業法上の取引には該当しない、自らが貸主として物件を貸し出す場合や、物件を転貸する場合については、規制の対象とはなりません。
そのため、自らが貸主である場合であれば、賃貸の広告をすることができるということになります。
選択肢 ④
販売する宅地又は建物の広告に関し、著しく事実に相違する表示をした場合、監督処分の対象となるだけでなく、懲役若しくは罰金に処せられ、又はこれを併科されることもある。
〇適切です。
誇大広告等の禁止に違反した場合、宅建業者は指示処分や業務停止処分の対象となります。さらに、情状が特に重い場合には免許取消処分を受けることもあります。
また、6か月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科される罰則が適用されることもあります。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢④となります。
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