今日は、宅地建物取引士試験 令和3年度(10月) 第35問について解説します。
令和2年度と3年度は、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置として、受験者分散の目的で10月と12月の2回試験が実施されました。
★出題テーマ【宅建業法-宅建士制度】★
宅地建物取引士の登録(以下この問において「登録」という。)及び宅地建物取引士証に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア 宅地建物取引士(甲県知事登録)が事務禁止処分を受けた場合、宅地建物取引士証を甲県知事に速やかに提出しなければならず、速やかに提出しなかったときは10万円以下の過料に処せられることがある。
イ 宅地建物取引士(甲県知事登録)が宅地建物取引士としての事務禁止処分を受け、その禁止の期間中に本人の申請により登録が消除された場合は、その者が乙県で宅地建物取引士資格試験に合格したとしても、当該期間が満了していないときは、乙県知事の登録を受けることができない。
ウ 宅地建物取引士(甲県知事登録)が甲県から乙県に住所を変更したときは、乙県知事に対し、登録の移転の申請をすることができる。
エ 宅地建物取引士(甲県知事登録)が本籍を変更した場合、遅滞なく、甲県知事に変更の登録を申請しなければならない。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
解説
宅建士制度(登録)に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ア
宅地建物取引士(甲県知事登録)が事務禁止処分を受けた場合、宅地建物取引士証を甲県知事に速やかに提出しなければならず、速やかに提出しなかったときは10万円以下の過料に処せられることがある。
〇適切です。
宅建士として行う事務において不正行為をした場合などで、事務禁止処分を受けたときは、速やかに宅建士証の交付を受けた都道府県知事に提出しなければなりません。
これに違反したときは、10万円以下の過料に処せられることがあります。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
なお、事務禁止の期間が満了した場合、宅建士証は請求により返還されます。
何もしなくても宅建士証を返してもらえるわけではなく、請求しないと返却されないという点をおさえておきたいですね。
選択肢 イ
宅地建物取引士(甲県知事登録)が宅地建物取引士としての事務禁止処分を受け、その禁止の期間中に本人の申請により登録が消除された場合は、その者が乙県で宅地建物取引士資格試験に合格したとしても、当該期間が満了していないときは、乙県知事の登録を受けることができない。
〇適切です。
宅建士としてすべき事務の禁止処分を受けて、その禁止の期間中に本人からの申請によって登録が消除された者は、事務禁止期間が満了するまで登録を受けることができません。
選択肢の説明の通り、宅建士が甲県で事務禁止処分を受け、その期間中に本人の申請によって登録が消除された場合、乙県で宅建士試験に合格しても、事務禁止処分期間が満了するまで乙県知事の登録を受けることができませんので、この選択肢は適切です。
選択肢 ウ
宅地建物取引士(甲県知事登録)が甲県から乙県に住所を変更したときは、乙県知事に対し、登録の移転の申請をすることができる。
×不適切です。
登録している都道府県以外にある事務所で業務に従事しているとき、または従事しようとするときには、登録の移転を行うことができます。
なお、単に居住地を移しただけでは、登録の移転の対象にはなりません。
つまり、甲県知事の登録を受けている宅地建物取引士(甲県知事登録)が乙県にある事務所で業務に従事している(しようとしている)ときには、乙県知事に対し、登録の移転の申請をすることができます。よってこの選択肢は不適切です。
登録の移転は任意であり、業務に関連しても、必ずしなければならないわけではないということをおさえておきたいですね。
また、住所は宅建士の登録事項ですので、住所が変わった場合は変更の登録や宅建士証の書き換え手続きについては必要となることもあわせておさえておくとさらに良いでしょう。
選択肢 エ
宅地建物取引士(甲県知事登録)が本籍を変更した場合、遅滞なく、甲県知事に変更の登録を申請しなければならない。
〇適切です。
宅建士資格登録を受けている者は、登録を受けている(宅建士資格登録簿に登載されている)事項に変更が生じた場合には、遅滞なく都道府県知事に対し変更の登録を申請しなければなりません。
本籍地は、宅建士資格登録簿の登載事項ですので、選択肢の説明の通り、宅地建物取引士(甲県知事登録)が本籍を変更した場合には、遅滞なく、甲県知事に変更の登録を申請しなければなりませんので、この選択肢は適切です。
なお、宅建士資格登録の変更申請には、申請を怠った場合の罰則は設けられていません。
以上から、正しい選択肢はア、イ、エの3つですので、正解は選択肢③となります。
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