今日は、宅地建物取引士試験 令和4年度 第33問について解説します。
★出題テーマ【宅建業法-宅建士制度】★
宅地建物取引士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア 宅地建物取引士資格試験は未成年者でも受験することができるが、宅地建物取引士の登録は成年に達するまでいかなる場合にも受けることができない。
イ 甲県知事登録の宅地建物取引士が、宅地建物取引業者(乙県知事免許)の専任の宅地建物取引士に就任するためには、宅地建物取引士の登録を乙県に移転しなければならない。
ウ 丙県知事登録の宅地建物取引士が、事務の禁止の処分を受けた場合、丁県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事しようとするときでも、その禁止の期間が満了するまで、宅地建物取引士の登録の移転を丁県知事に申請することができない。
エ 戊県知事登録の宅地建物取引士が、己県へ登録の移転の申請とともに宅地建物取引士証の交付を申請した場合、己県知事が宅地建物取引士証を交付するときは、戊県で交付された宅地建物取引士証の有効期間が経過するまでの期間を有効期間とする宅地建物取引士証を交付しなければならない。
① 一つ
② 二つ
③ 三つ
④ 四つ
解説
宅建士制度(登録)に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ア
宅地建物取引士資格試験は未成年者でも受験することができるが、宅地建物取引士の登録は成年に達するまでいかなる場合にも受けることができない。
×不適切です。
原則として未成年者は、宅建士試験に合格しても登録を受けることができませんが、宅建業に係る営業に関して、成年者と同一の行為能力を有している場合には、登録を受けることができます。
つまり、宅地建物取引士資格試験は未成年者でも受験することができ、宅地建物取引士の登録は成年者と同一の行為能力を有している場合には受けることができます。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 イ
甲県知事登録の宅地建物取引士が、宅地建物取引業者(乙県知事免許)の専任の宅地建物取引士に就任するためには、宅地建物取引士の登録を乙県に移転しなければならない。
×不適切です。
登録している都道府県以外にある事務所で業務に従事している場合、または従事しようとする場合には、登録の移転を行うことができます。
しかし、登録の移転は任意であり、登録している都道府県以外の専任の宅地建物取引士に就任するような場合など、業務に関連する場合であっても、必ずしなければならないわけではありません。
つまり、甲県知事登録の宅地建物取引士が、宅地建物取引業者(乙県知事免許)の専任の宅地建物取引士に就任するにあたって、宅地建物取引士の登録を乙県に移転することができます(義務ではなく任意です)。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ウ
丙県知事登録の宅地建物取引士が、事務の禁止の処分を受けた場合、丁県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事しようとするときでも、その禁止の期間が満了するまで、宅地建物取引士の登録の移転を丁県知事に申請することができない。
〇適切です。
宅建士は、事務禁止処分を受けている期間中は、登録の移転手続きを行うことができません。
選択肢の説明の通り、丙県知事登録の宅地建物取引士が事務の禁止の処分を受けた場合には、丁県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事しようとするときでも、その禁止の期間が満了するまで、宅地建物取引士の登録の移転を丁県知事に申請することができませんので、この選択肢は適切です。
選択肢 エ
戊県知事登録の宅地建物取引士が、己県へ登録の移転の申請とともに宅地建物取引士証の交付を申請した場合、己県知事が宅地建物取引士証を交付するときは、戊県で交付された宅地建物取引士証の有効期間が経過するまでの期間を有効期間とする宅地建物取引士証を交付しなければならない。
〇適切です。
登録の移転をすると、従前の宅建士証は失効します。引き続き宅建士として事務を行うためには、新たな宅建士証の交付申請を行わなければなりません。
この際、新たな宅建士証は従前の宅建士証と引き換えに交付され、その有効期間は従前の残存期間をそのまま引き継ぐことになります。
選択肢の説明の通り、戊県知事登録の宅地建物取引士が、己県へ登録の移転の申請とともに宅地建物取引士証の交付を申請した場合、己県知事が交付する宅地建物取引士証の有効期間は、戊県で交付された宅地建物取引士証の有効期間が経過するまでとなりますので、この選択肢は適切です。
以上から、正しい選択肢はアとイの2つですので、正解は選択肢②となります。
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余談ですが、「戊」や「己」は混乱しますよね?
宅建士試験の問題では、登場人物や地名の代わりに「甲」「乙」「丙」「丁」などが頻繁に使われます。
これらは法律や試験問題でよく見られる慣用表現ですが、正直、丁までならまだしも、「戊(ぼ)」や「己(き)」が出てくると、途端に混乱してしまいますよね。
試験問題を読む際には、無理に読み方を意識する必要はありませんが、混乱を避けるためにも読み方をご紹介します。
甲:こう、乙:おつ、丙:へい、丁:てい、戌:ぼ、己:き、庚:こう
こうして見ると、「甲」から「丁」まではまだ耳馴染みがありますが、「戊」「己」「庚」あたりになると、日常生活ではまずお目にかかりません。
読めないからといって試験に不利になるわけではないので、気軽に「番号付きのラベル」とでも捉えると良いでしょう。
法律や試験問題では、固い言い回しを使うことで、現実の具体的な状況を排除し、公平な判断を求める意図があると言われています。
ですが、受験生としては「もっと分かりやすくしてくれ!」と思いますよね。このような用語を楽しみながら学ぶのも、試験勉強を乗り切るコツかもしれません。
皆様も「戊」「己」が出てきたら軽く受け流して、試験問題に集中してくださいね!
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