今日は、令和4年度 第32問について解説します。(一部改題)
勧誘者であるA法人(代表者B)は特定転貸事業者であるC法人から委託を受けて特定賃貸借契約の勧誘を行っている。勧誘者であるA法人の従業員Dが、自己の判断により、特定賃貸借契約の相手方となろうとする者に対し、故意に不実のことを告げるという管理業法第29条第1号に違反する行為を行った場合の罰則(6月以下の懲役若しくは50万円以下の罰金又はこれらの併科)の適用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア A法人が罰金に処せられることはない。
イ 代表者Bが懲役又は罰金に処せられることはない。
ウ C法人が罰金に処せられることはない。
エ 従業員Dが懲役又は罰金に処せられることはない。
1 ア、イ
2 ア、ウ
3 イ、ウ
4 ウ、エ
解説
勧誘者に対する規制に関する問題です。
まずは、この問題の状況を整理しておきましょう。
A法人に勤務するDは、特定賃貸借契約の勧誘を行う勧誘者です。
Dはなんと悪いことに、特定賃貸借契約の相手候補に、わざと嘘をつきました。
故意に不実のことを告げる行為は、賃貸住宅管理業法上禁止されています。
違反した場合は罰則がありますが、罰則を受ける対象になるのは誰でしょうか?という問題です。
それではそれぞれの選択肢をみていきましょう。
選択肢 ア
A法人が罰金に処せられることはない。
×不適切です。
DはA法人の従業員です。
従業員が違反行為を行った場合には、その法人にも罰則が適用されます。
つまり、A法人は罰金に処せられることになります。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
代表者Bが懲役又は罰金に処せられることはない。
〇適切です。
Dは、自己の判断で違反行為をしました。会社や代表者の命令で違反行為をしたわけではありません。
この場合罰則の対象となるのは、行為者であるDと法人Aであり、法人Aの代表者Bにも罰則が及ぶという規定はありません。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ③
C法人が罰金に処せられることはない。
〇適切です。
A法人は、特定転貸事業者C法人から委託を受けて勧誘を行っていました。
とはいえ今回は、違反行為をしたのはDであり、DはA法人の従業員なので、罰則の対象となるのは行為者であるDと法人Aであり、法人Cには罰則が適用されません。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
従業員Dが懲役又は罰金に処せられることはない。
×不適切です。
Dは違反行為を行った張本人です。
違反行為をしたものは、懲役もしくは罰金刑に処されます。
つまり、従業員Dは懲役又は罰金に処せられることになります。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、適切なものの組合わせはイとウですので、正解は選択肢③になります。
※本試験時の解答群3は、「イ、エ」となっています。適切な組み合わせである「イとウ」は解答群になかったため、この問題は「正解なし」の没問(全員正解)として扱われました。本ブログでは、解答群3を「イ、ウ」に変更して、正解があるように改題しております。
ところで・・・
「管理業法第29条第1号」というように、法律の第何条何号、と書かれていると、
管理業法の条数まで覚えていないよ・・・と、ちょっと焦ってしまいませんか?
このような出題の仕方でも、条数までは覚えていなくても答えが導けますので、安心してくださいね。
ちなみに管理業法29条には、不当な勧誘等の禁止について定められています。(覚えなくて大丈夫ですよ!)
ぜひ関連解説もあわせてご確認いただければと思います。
★関連解説★
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