今日は、令和2年度 第28問について解説します。
普通建物賃貸借契約の更新及び終了に関する以下の記述のうち、正しいものはどれか。
① 期間の定めのある建物賃貸借契約において、借主は1か月前に予告することで解約することができるとの特約を定めても無効であり、期間が満了するまでは契約は終了しない。
② 期間の定めのある建物賃貸借契約において、貸主は3か月前に予告することで解約することができるとの特約を定めた場合であっても、正当事由のない解約申入れは無効である。
③ 期間の定めのある建物賃貸借契約において、貸主と借主が賃貸借契約の終期から1年以上前の時点で、同契約を更新することにつき合意することはできない。
④ 期間の定めのない建物賃貸借契約において、貸主が解約を申し入れた場合、正当事由を具備することで、解約申入日から3か月の経過により契約が終了する。
解説
賃貸借契約の更新と終了に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ①
期間の定めのある建物賃貸借契約において、借主は1か月前に予告することで解約することができるとの特約を定めても無効であり、期間が満了するまでは契約は終了しない。
×不適切です。
期間の定めのある賃貸借契約の終了について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
期間の定めのある賃貸借契約において、期間内に解約できる旨の特約は有効です。
借主から解約申し入れをする場合には、予告期間の定めがない場合には、民法上は解約を申入れてから3か月で賃貸借契約は終了するものとされていますが、それよりも短い1か月前を予告期間とする特約についても、有効です。
つまり、期間の定めのある建物賃貸借契約において、借主は1か月前に予告することで解約することができるとの特約を定めても有効であり、予告から1か月を経過することにより契約は終了します。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
期間の定めのある建物賃貸借契約において、貸主は3か月前に予告することで解約することができるとの特約を定めた場合であっても、正当事由のない解約申入れは無効である。
〇適切です。
期間の定めのある賃貸借契約の終了について、もう一度まとめシートの解説を確認しましょう。
期間の定めのある賃貸借契約において、貸主から解約を申入れる場合には、正当事由が必要で、正当事由がある場合は申入れから6か月を経過することによって契約が終了します。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
(期間の定めのある建物賃貸借契約において、貸主は3か月前に予告することで解約することができるとの特約を定めた場合であっても、正当事由のない解約申入れは無効ですし、予告期間は6か月以上としなければ無効です。)
選択肢 ③
期間の定めのある建物賃貸借契約において、貸主と借主が賃貸借契約の終期から1年以上前の時点で、同契約を更新することにつき合意することはできない。
×不適切です。
賃貸借契約の合意更新について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
合意更新は、更新期間に制限はなく、特別な手続きも必要ありません。契約期間終了前の通知なども不要です。
つまり、期間の定めのある建物賃貸借契約において、貸主と借主が賃貸借契約の終期から1年以上前の時点で、同契約を更新することにつき合意することは有効です。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ④
期間の定めのない建物賃貸借契約において、貸主が解約を申し入れた場合、正当事由を具備することで、解約申入日から3か月の経過により契約が終了する。
×不適切です。
期間の定めのある賃貸借契約の終了について、もう一度まとめシートの解説を確認しましょう。
期間の定めのある賃貸借契約において、貸主から解約を申入れる場合には、正当事由が必要で、正当事由がある場合は申入れから6か月を経過することによって契約が終了します。
つまり、期間の定めのない建物賃貸借契約において、貸主が解約を申し入れた場合、正当事由を具備することで、解約申入日から6か月の経過により契約が終了します。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢②となります。
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