今日は、令和5年度 第48問について解説します。

令和5年度賃貸不動産経営管理士試験 第48

賃貸住宅管理に関する次の記述のうち、不適切なものはいくつあるか。

 

ア  空き家を有効活用する場合、賃貸不動産として利用することは有力な選択肢であるが、建物所有者に賃貸住宅経営の経験がないケースが多いこと、修繕義務の所在など契約関係について特別な取り扱いが考慮される場合があること、現在賃貸市場に供給されていない不動産であることなどが阻害要因となる。

イ  民間賃貸住宅のセーフティネット機能の向上を図る観点から、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進を図るため、地方公共団体、関係業者、居住支援団体等により居住支援協議会が構成され、住宅情報の提供等の支援が実施されている。

ウ  「住生活基本計画」(令和3年3月19日閣議決定)は、「新たな日常」やDXの進展に対応した新しい住まい方の実現、頻発・激甚化する災害新ステージにおける安全な住宅・住宅地の形成と被災者の住まいの確保、子どもを産み育てやすい住まいの実現、脱炭素社会に向けた住宅循環システムの構築と良質な住宅ストックの形成などの目標を掲げている。

エ 引き続き成長産業として期待される不動産業の中・長期ビジョンを示した「不動産業ビジョン2030~令和時代の『不動産最適活用』に向けて~」(国土交通省平成31年4月24日公表)は、官民共通の目標としてエリア価値の向上を設定し、地域ニーズを掘り起こし、不動産最適活用を通じてエリア価値と不動産価値の相乗的な向上を図るとした。

 

1  なし

2  1つ

3  2つ

4  3つ

 

 

解説

賃貸住宅と社会状況に関する問題です。

 

それではさっそく選択肢をみていきましょう。


 

選択肢 ア

空き家を有効活用する場合、賃貸不動産として利用することは有力な選択肢であるが、建物所有者に賃貸住宅経営の経験がないケースが多いこと、修繕義務の所在など契約関係について特別な取り扱いが考慮される場合があること、現在賃貸市場に供給されていない不動産であることなどが阻害要因となる。

 

〇適切です。

空き家の対処としては、大きく「撤去」と「有効活用」があります。空き家の賃貸化は、有効活用する場合の有力な選択肢です。

ただし、建物所有者に事業経験がないケースが多いこと、修繕義務の所在などの契約関係における特別な取り扱いが考慮される場合があること、賃貸市場に出ていない物件であることなど、困難な課題があります。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。


 

選択肢 イ

民間賃貸住宅のセーフティネット機能の向上を図る観点から、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進を図るため、地方公共団体、関係業者、居住支援団体等により居住支援協議会が構成され、住宅情報の提供等の支援が実施されている。

 

〇適切です。

住宅確保要配慮者居住支援協議会とは、住宅確保要配慮者(低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子供を育成する家庭その他住宅の確保に特に配慮を要する者)の民間賃貸住宅等への円滑な入居の促進を図るため、地方公共団体や関係業者、居住支援団体等が連携(住宅セーフティネット法第51条第1項)し、住宅確保要配慮者及び民間賃貸住宅の賃貸人の双方に対し、住宅情報の提供等の支援を実施するものです。(国土交通省HPより引用

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

なお、住生活基本計画においても、住宅確保要配慮者が安心して暮らせるセーフティーネット機能の整備を目標に掲げています。あわせてご確認いただければと思います。


 

選択肢 ウ

「住生活基本計画」(令和3年3月19日閣議決定)は、「新たな日常」やDXの進展に対応した新しい住まい方の実現、頻発・激甚化する災害新ステージにおける安全な住宅・住宅地の形成と被災者の住まいの確保、子どもを産み育てやすい住まいの実現、脱炭素社会に向けた住宅循環システムの構築と良質な住宅ストックの形成などの目標を掲げている。

 

〇適切です。

住生活基本計画について、もう一度確認してみましょう。

「新たな日常」やDXの進展に対応した新しい住まい方の実現(目標1)、

頻発・激甚化する災害新ステージにおける安全な住宅・住宅地の形成と被災者の住まいの確保(目標2)、

子どもを産み育てやすい住まいの実現(目標3)、

脱炭素社会に向けた住宅循環システムの構築と良質な住宅ストックの形成(目標6)、などの目標が掲げられています。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。


 

選択肢 エ

引き続き成長産業として期待される不動産業の中・長期ビジョンを示した「不動産業ビジョン2030~令和時代の『不動産最適活用』に向けて~」(国土交通省平成31年4月24日公表)は、官民共通の目標としてエリア価値の向上を設定し、地域ニーズを掘り起こし、不動産最適活用を通じてエリア価値と不動産価値の相乗的な向上を図るとした。

 

〇適切です。

不動産業ビジョン2030について、まとめシートでは以下の通り解説しています。

地域ニーズを掘り起こし、不動産の最適活用を通じて、エリア価値、不動産価値の相乗的な向上を目指すことが、官民共通の目的の一つとして掲げられています。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。


 

以上から、不適切な選択肢はありませんので、正解は選択肢①なし となります。

 

ぜひ関連解説もあわせてご確認いただければと思います。

 

★関連解説★

賃貸不動産経営管理士の役割(R5年 第45問)

 

 

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