今日は、令和4年度 第45問について解説します。

令和4年度賃貸不動産経営管理士試験 第45

賃貸不動産経営管理士に期待される役割に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

① 賃貸不動産の経営管理の専門家として、重要な政策課題や新しい賃貸住宅の活用のあり方につき、所属する管理業者に助言をして制度設計を進め、実際の業務の管理監督や実施を担うなど、当該課題の解決等に向けて積極的に関与する。

 

② 「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」を踏まえ、住宅扶助費の代理納付制度や残置物の取扱いに係る契約上の取扱いなどを貸主に対して説明して理解を求め、住宅確保要配慮者が安心して暮らせる賃貸住宅の提供に役割を果たす。

 

③ 空き家所有者に対する有効活用の助言、賃貸借に係る情報やノウハウの提供、入居者の募集、賃貸管理の引受けなどの助言を通じ、空き家所有者が安心して賃貸不動産経営に参画できる環境を整備し、空き家問題の解決に役割を果たす。

 

④ 所属する管理業者が「残置物の処理等に関するモデル契約条項」(法務省・国土交通省令和3年6月公表)に基づく解除事務受任者・残置物事務受任者である場合において、賃貸借契約中に借主が死亡した際の契約関係の処理につき、借主の相続人の意向による影響を排除する立場で関与する。

 

 

 

解説

賃貸不動産経営管理士の役割に関する問題です。

 

それではさっそく選択肢をみていきましょう。


 

選択肢 ①

賃貸不動産の経営管理の専門家として、重要な政策課題や新しい賃貸住宅の活用のあり方につき、所属する管理業者に助言をして制度設計を進め、実際の業務の管理監督や実施を担うなど、当該課題の解決等に向けて積極的に関与する。

 

〇適切です。

賃貸不動産経営管理士は、賃貸不動産経営や管理の専門家として、賃貸不動産に関する政策課題や活用について、管理業者の内部や関係者の間で制度設計その他さまざまな手続きに関与することが必要だと考えられています。

また、実際の業務について管理・監督または実施を担うなど、課題の解決に向けて積極的に関与することが期待されています。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。


 

選択肢 ②

「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」を踏まえ、住宅扶助費の代理納付制度や残置物の取扱いに係る契約上の取扱いなどを貸主に対して説明して理解を求め、住宅確保要配慮者が安心して暮らせる賃貸住宅の提供に役割を果たす。

 

〇適切です。

「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」いわゆる「住宅セーフティーネット法」は、住宅確保要配慮者への適切な賃貸住宅提供を推進することを目的としてます。

賃貸不動産経営管理士は、この法律の趣旨や理念をふまえて、貸主の不安を払しょくして積極的に賃貸借がなされるように働きかける役割があります。

具体的には、住宅セーフティー法には、住宅扶助費の代理納付制度や残置物の取扱いに係る契約上の取扱いなどが定められていますが、これらについて貸主に説明して、理解を求めるなどといった対応が考えられます。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。


 

選択肢 ③

空き家所有者に対する有効活用の助言、賃貸借に係る情報やノウハウの提供、入居者の募集、賃貸管理の引受けなどの助言を通じ、空き家所有者が安心して賃貸不動産経営に参画できる環境を整備し、空き家問題の解決に役割を果たす。

 

〇適切です。

空き家問題は、社会的に大きな問題となっています。空き家の賃貸化は、空き家問題対策のひとつです。

ただし、空き家を賃貸化するにあたっては、様々な対応が必要となりますので、賃貸住宅経営・管理の専門家として、賃貸不動産経営管理士の積極的な関与が求められているところです。

具体的には、空き家所有者に対する有効活用の助言、賃貸借に係る情報やノウハウの提供、入居者の募集、賃貸管理の引受けなどの助言をとおして、空き家所有者が安心して賃貸不動産経営に参画できる環境の整備をすることなどです。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


 

選択肢 ④

所属する管理業者が「残置物の処理等に関するモデル契約条項」(法務省・国土交通省令和3年6月公表)に基づく解除事務受任者・残置物事務受任者である場合において、賃貸借契約中に借主が死亡した際の契約関係の処理につき、借主の相続人の意向による影響を排除する立場で関与する。

 

×不適切です。

高齢者の賃貸借契約においては、入居中に借主が死亡した際に、物件内の残置物処理等についての問題が生じることがあります。そこで、残置物リスク等を軽減する観点から、「残置物の処理等に関するモデル契約条項」が公表されています。

このモデル条項は、借主が死亡した際に、賃貸借契約を解除できる人(解除事務受任者)と残置物を処理できる人(残置物処理事務受任者)を決めたうえで、どのように動産を処理するかという方法を決めておくことができるものになっています。管理業者も、解除事務受任者や残置物処理事務受任者になることができます。

賃貸不動産経営管理士は、このモデル条項の内容を理解し、所属する管理業者が受任者になった場合には、相続人の利益も十分に配慮しながら適切に対応することが期待されます。

つまり、所属する管理業者が「残置物の処理等に関するモデル契約条項」(法務省・国土交通省令和3年6月公表)に基づく解除事務受任者・残置物事務受任者である場合において、賃貸借契約中に借主が死亡した際の契約関係の処理につき、借主の相続人の意向にも十分配慮する立場で関与することが求められます。よってこの選択肢は不適切です。


 

以上から、正解は選択肢④となります。

 

賃貸不動産経営管理士の役割は幅広いこともあり、賃貸不動産経営管理士の役割や期待されることに関する問題では、選択肢にたくさんの記述が並ぶ傾向があります。

選択肢が長いと、読めば読むほど、これは正しいのかどうか、少し迷いが出てしまうかもしれませんね。

過去問の傾向としては、賃貸不動産経営管理士は常に公正中立な立場で職務を行うべきなのに対し、一方的な立場で行うべきという旨の記述がある場合は、誤った選択肢である可能性が高いようです。

例えば、「貸主の立場で」や、選択肢④のように「影響を排除する立場で」などのように、誰か一方的な立場で行動すべき旨の記述がある場合は、要注意です。

参考になりましたら幸いです。

 

ぜひ関連解説もあわせてご確認いただければと思います。

 

 

★関連解説★

賃貸不動産経営管理士の業務(R3年 第43問)

賃貸不動産経営管理士に求められるコンプライアンス(R4年 46問)

 

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