今日は、令和4年度 第36問について解説します。
管理業法の定める誇大広告等の禁止に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
① 広告の記載と事実との相違が大きくなくても、その相違を知っていれば通常その特定賃貸借契約に誘引されないと判断される程度であれば、虚偽広告に該当する。
② 一定期間一定の額の家賃を支払うことを約束する趣旨で広告に「家賃保証」と表示する場合には、その文言に隣接する箇所に借地借家法第 32条の規定により家賃が減額されることがあることを表示しなければ、誇大広告に該当する。
③ 広告に「〇年間借上げ保証」と表示する場合には、その期間中であっても特定転貸事業者から解約をする可能性があることを表示しなければ、誇大広告に該当する。
④ 良好な経営実績が確保されたとの体験談を用いる広告については、「個人の感想です。経営実績を保証するものではありません。」といった打消し表示を明瞭に記載すれば、誇大広告に該当しない。
解説
誇大広告等の禁止に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢①
広告の記載と事実との相違が大きくなくても、その相違を知っていれば通常その特定賃貸借契約に誘引されないと判断される程度であれば、虚偽広告に該当する。
〇適切です。
虚偽広告や誇大広告といった誇大広告等は、賃貸住宅管理業法において禁止されています。
誇大広告等について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
虚偽広告とは、著しく事実と違う広告のことをいいますが、著しいかどうかは、事実を知っていれば通常誘引されないと判断されるかどうかであり、相違の大きさにより判断されるものではありません。
よってこの選択肢は適切です。
選択肢②
一定期間一定の額の家賃を支払うことを約束する趣旨で広告に「家賃保証」と表示する場合には、その文言に隣接する箇所に借地借家法第 32条の規定により家賃が減額されることがあることを表示しなければ、誇大広告に該当する。
〇適切です。
誇大広告をしてはならない事項や広告表示の留意事項について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
特定転貸事業者が貸主に支払うべき家賃の額、支払期日、支払方法等の賃貸の条件とその変更に関しては、誇大広告をしてはならない事項です。
「家賃保証」と表示する場合には、文字の隣接する箇所に、定期的な家賃の見直しがある場合はその旨を書く必要があります。また、借地借家法第32条(賃料増減請求権)の規定により減額されることがあることを表示する必要があり、ない場合は誇大広告に該当するものとされています。
よってこの選択肢は適切です。
選択肢③
広告に「〇年間借上げ保証」と表示する場合には、その期間中であっても特定転貸事業者から解約をする可能性があることを表示しなければ、誇大広告に該当する。
〇適切です。
誇大広告をしてはならない事項や広告表示の留意事項について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
特定賃貸借契約の解除に関する事項は、誇大広告をしてはならない事項です。
「〇年間借上げ保証」としていても、実際には契約期間中でも特定転貸事業者から解約することが可能であるにもかかわらず、その旨を表示しない場合は、誇大広告に該当するものとされています。
よってこの選択肢は適切です。
選択肢④
良好な経営実績が確保されたとの体験談を用いる広告については、「個人の感想です。経営実績を保証するものではありません。」といった打消し表示を明瞭に記載すれば、誇大広告に該当しない。
×不適切です。
貸賃貸住宅経営は、立地などの個別の条件が大きく影響するにもかかわらず、体験談を用いることによって、「多くの人が特定賃貸借契約を締結すれば同じようなメリットが得られる」という認識を抱かせることがあります。ですので、例え打消し表示を記載したとしても、問題のある表示となることがあります。
つまり、良好な経営実績が確保されたとの体験談を用いる広告については、「個人の感想です。経営実績を保証するものではありません。」といった打消し表示を明瞭に記載したとしても、誇大広告に該当する可能性があります。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢④となります。
賃貸住宅管理業法は、賃貸住宅管理業者はもちろんですが、特定転貸事業者も守るべき規律として定められており、不当な勧誘等の禁止および誇大広告等の禁止については、勧誘者もその規制の対象となります。
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