今日は、令和5年度 第12問について解説します。

令和5年度賃貸不動産経営管理士試験 第12

建物の構造に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

① 1968年の十勝沖地震の被害を踏まえ、1971年に鉄筋コンクリート造の柱のせん断設計法を変更する等の建築基準法施行令改正があった。

② 1978年の宮城県沖地震の被害を踏まえ、1981年に建築基準法の耐震基準が改正され、この法改正の内容に基づく設計法が、いわゆる新耐震設計法である。

③ 2013年に建築物の耐震改修の促進に関する法律が改正され、一部の建物について耐震診断が義務付けられた。

④ 共同住宅である賃貸住宅においても、耐震診断と耐震改修を行うことが義務付けられている。

 

 

解説

耐震設計の歴史と、耐震診断等に関する問題です。

日本では度々発生する地震被害の状況をふまえ、地震に関する法の改正がなされています。

 

それではさっそく選択肢をみていきましょう。


 

選択肢①

1968年の十勝沖地震の被害を踏まえ、1971年に鉄筋コンクリート造の柱のせん断設計法を変更する等の建築基準法施行令改正があった。

 

〇適切です。

1968年5月に十勝沖地震が発生し、RC造の柱にせん断破壊といわれる、コンクリートに斜めに亀裂が入って破壊する被害が多く発生しました。このことをうけ、1971年には、柱の鉄筋間隔を狭くするなどの、せん断破壊を防止する設計方法とする建築基準法施行令改正がなされました。

よってこの選択肢は適切です。


 

選択肢②

1978年の宮城県沖地震の被害を踏まえ、1981年に建築基準法の耐震基準が改正され、この法改正の内容に基づく設計法が、いわゆる新耐震設計法である。

 

〇適切です。

1978年に宮城県沖地震が発生し、甚大な被害をうけたことから、1981年に建築基準法における耐震基準が大幅に改正されました。この法改正の内容が、新耐震設計法と言われています。

よってこの選択肢は適切です。


 

選択肢③

2013年に建築物の耐震改修の促進に関する法律が改正され、一部の建物について耐震診断が義務付けられた。

 

〇適切です。

建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)は、1995年に発生した阪神淡路大震災の被害状況をうけて制定されたもので、2013年に改正されました。

改正により、不特定多数の人が使用する建築物や学校、老人ホームなどの避難に配慮が必要な人が利用する大規模な建築物について耐震診断および結果の報告が義務付けられました。

よってこの選択肢は適切です。

 


 

選択肢④

共同住宅である賃貸住宅においても、耐震診断と耐震改修を行うことが義務付けられている

 

×不適切です。

賃貸住宅のうち共同住宅については、原則として1981年5月31日以前に着工している3階以上かつ床面積1000㎡以上のものは「特定既存耐震不適格建築物」とされ、耐震診断を行い、診断の結果によっては耐震改修を行うよう努めなければならないという努力義務が定められています。

つまり、共同住宅である賃貸住宅においても、耐震診断と耐震改修を行うよう努めなければならないという努力義務が定められていますよってこの選択肢は不適切です。


 

以上から、正解は選択肢④となります。

 

耐震関連法規の歴史的な背景に関する問題ですが、せん断設計など専門的な用語が出来ると少し難しく感じてしまいますね。

選択肢の一部に難しい単語が出てきても、問題全体を見れば解ける場合もありますので、焦る必要はありませんよ。

ぜひこの機会に理解を深めていただければと思います。

 

 

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