今日は、令和3年度 第38問について解説します。
特定転貸事業者が、特定賃貸借契約を締結しようとする際に行う相手方への説明に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 説明の前に管理業法第 30条に規定する書面(以下、本問において「特定賃貸借契約重要事項説明書」という。)等を送付しておき、送付から一定期間後に説明を実施した上で速やかに契約書を取り交わした。
② 相手方とは、既に別の賃貸住宅について特定賃貸借契約を締結していたため、その契約と同じ内容については特定賃貸借契約重要事項説明書への記載を省略した。
③ 相手方への説明を、賃貸不動産経営管理士の資格を有しない従業者に行わせた。
④ 賃貸住宅の修繕は、特定転貸事業者が指定した業者に施工させなければならないという条件を契約に盛り込むこととし、その旨説明した。
解説
特定賃貸借契約重要事項説明に関する問題です。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢①
説明の前に管理業法第30条に規定する書面(以下、本問において「特定賃貸借契約重要事項説明書」という。)等を送付しておき、送付から一定期間後に説明を実施した上で速やかに契約書を取り交わした。
〇適切です。
特定賃貸借契約契約締結までの流れについて、まとめシートでは以下の通り解説しています。
重要事項説明から、契約締結までは1週間程度の期間を置くことが望ましいとされています。重要事項説明から契約締結までの期間が短くなってしまう場合には、事前に重要事項説明書等を送付しておき、送付から一定期間後に説明を実施するなどして、貸主が契約締結の判断を行うまでに十分な時間を確保するべきとされています。
つまり、重要事項説明書等を送付しておいて、送付から一定期間後に説明を実施した上で速やかに契約書を取り交わすのは適切な行為であるといえますので、この選択肢は適切です。
選択肢②
相手方とは、既に別の賃貸住宅について特定賃貸借契約を締結していたため、その契約と同じ内容については特定賃貸借契約重要事項説明書への記載を省略した。
×不適切です。
重要事項説明は書面を交付した上で、契約の締結前に実施しなければなりません。説明すべき事項は定められており、すべて書面に記載し説明する必要があります。重要事項説明書に省略して良いとされる事項はなく、別に契約している特定賃貸借契約と同じ内容であっても省略できるものではありません。
つまり、相手方とは、既に別の賃貸住宅について特定賃貸借契約を締結していたとしても、その契約と同じ内容についても当然特定賃貸借契約重要事項説明書への記載する必要があります。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢③
相手方への説明を、賃貸不動産経営管理士の資格を有しない従業者に行わせた。
〇適切です。
重要事項説明を行う義務があるのは特定転貸事業者です。法律上は説明を行う者に関しての資格や立場等の定めがありませんので、賃貸不動産経営管理士に限らず、資格を有しない従業者に重要事項説明を行わせることは、差し支えないものと考えられます。よってこの選択肢は適切です。
ただし、適切に説明を行い、貸主に理解してもらうためには、一定の経験や専門的な知識を持っている者が望ましいとされています。
賃貸不動産経営管理士は専門的な知識と経験をもつ専門家ですので、特定賃貸借契約重要事項説明を自ら実施し、賃貸住宅管理の適正化に寄与する役割も期待されているところです。
選択肢④
賃貸住宅の修繕は、特定転貸事業者が指定した業者に施工させなければならないという条件を契約に盛り込むこととし、その旨説明した。
〇適切です。
特定賃貸借契約重要事項説明において、特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全に関する費用の分担に関する事項について説明する必要があり、維持保全の具体的な内容や、維持・修繕にかかる費用を貸主と特定転貸事業者のどちらが負担するかということを説明します。
修繕等を特定転貸事業者が指定する業者に依頼するといった条件を定める場合には、説明が必要になります。
よってこの選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢②となります。
特定賃貸借契約に関する問題は、重要事項説明、契約締結時書面、特定賃貸借標準契約書について、例年複数問出題されています。
管理受託契約と同様、超重要テーマであることがわかります。
ぜひ関連解説もあわせてご確認いただければと思います。
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