今日は、宅地建物取引士試験 平成27年度 第27問について解説します。

 

★出題テーマ【宅建業法-免許基準】★

令和1年度宅地建物取引士試験 第27

宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。

 

①  A社は、不正の手段により免許を取得したことによる免許の取消処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分がなされるまでの間に、合併により消滅したが、合併に相当の理由がなかった。この場合においては、当該公示の日の50日前にA社の取締役を退任したBは、当該消滅の日から5年を経過しなければ、免許を受けることができない。

 

②  C社の政令で定める使用人Dは、刑法第234条(威力業務妨害)の罪により、懲役1年、執行猶予2年の刑に処せられた後、C社を退任し、新たにE社の政令で定める使用人に就任した。この場合においてE社が免許を申請しても、Dの執行猶予期間が満了していなければ、E社は免許を受けることができない。

 

③  営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であるFの法定代理人であるGが、刑法第247条(背任)の罪により罰金の刑に処せられていた場合、その刑の執行が終わった日から5年を経過していなければ、Fは免許を受けることができない。

 

④  H社の取締役Iが、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員に該当することが判明し、宅地建物取引業法第66条第1項第3号の規定に該当することにより、H社の免許は取り消された。その後、Iは退任したが、当該取消しの日から5年を経過しなければ、H社は免許を受けることができない。

 

 

 

解説

免許基準(欠格要件)に関する問題です。

 

それではさっそく選択肢をみていきましょう。

 


選択肢 ①

A社は、不正の手段により免許を取得したことによる免許の取消処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分がなされるまでの間に、合併により消滅したが、合併に相当の理由がなかった。この場合においては、当該公示の日の50日前にA社の取締役を退任したBは、当該消滅の日から5年を経過しなければ、免許を受けることができない。

 

〇適切です。

不正な手段で免許を取得した場合、宅建業の免許が取り消されることになりますが、免許取消処分を行う前に「聴聞」という意見を述べる機会が与えられます。

この聴聞が行われる日時などを公示した後から、処分がなされるまでの間に、相当な理由なく合併によって消滅した法人において、聴聞の公示日の前60日以内に役員であった者は、消滅の日から5年間免許を受けることができません。

選択肢の説明の通り、不正の手段により免許を取得したA社が、聴聞の公示の後、処分決定前に相当な理由なく合併により消滅した場合、その公示日の50日前に役員を退任したBは、免許欠格事由に該当し免許を受けることができませんので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ②

C社の政令で定める使用人Dは、刑法第234条(威力業務妨害)の罪により、懲役1年、執行猶予2年の刑に処せられた後、C社を退任し、新たにE社の政令で定める使用人に就任した。この場合においてE社が免許を申請しても、Dの執行猶予期間が満了していなければ、E社は免許を受けることができない。

 

〇適切です。

執行猶予付きの懲役刑の場合、執行猶予期間中は刑の効力がある状態ですので、免許の欠格要件に該当し、免許を受けることができません。(執行猶予が満了した場合は、免許待機期間はなくすぐに免許を受けることができます。)

法人の場合、役員または政令で定める使用人(事務所の代表者など)が欠格要件に該当する場合、免許を受けることができません。

選択肢の説明通り、執行猶予期間中のDを政令で定める使用人としているE社は、免許を受けることができませんので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ③

営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であるFの法定代理人であるGが、刑法第247条(背任)の罪により罰金の刑に処せられていた場合、その刑の執行が終わった日から5年を経過していなければ、Fは免許を受けることができない。

 

〇適切です。

成年者と同一の行為能力を持たない未成年者は、その法定代理人が欠格要件に該当する場合は、免許を受けることができません。

背任罪により罰金刑に処せられた者は、刑の執行が終了した日、または執行を受けることがなくなった日から5年間経過していない場合、免許の欠格要件に該当し、免許を受けることができません。

選択肢の説明の通り、営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であるFの法定代理人Gは欠格要件に該当するため、Gの刑の執行が終わった日から5年を経過していなければ、Fは免許を受けることができませんので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ④

H社の取締役Iが、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員に該当することが判明し、宅地建物取引業法第66条第1項第3号の規定に該当することにより、H社の免許は取り消された。その後、Iは退任したが、当該取消しの日から5年を経過しなければ、H社は免許を受けることができない

 

×不適切です。

免許取消処分を受けて、5年を経過しなければ免許を受けることができないのは、以下に該当する場合です。

上記以外の理由で免許を取り消された場合には、5年の免許待期期間はありませんので、欠格要件に該当することが無くなれば、すぐに免許を受けることができます。

つまり、H社の取締役Iが、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員に該当することが判明し、宅地建物取引業法第66条第1項第3号の規定に該当することにより、H社の免許は取り消された場合であっても、Iが退任すれば、当該取消しの日から5年を経過しなくても、H社は免許を受けることができます。よってこの選択肢は不適切です。

 


 

以上から、正解は選択肢④となります。

 

 

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