今日は、宅地建物取引士試験 令和5年度 第29問について解説します。
★出題テーマ【宅建業法-免許】★
宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
① 宅地建物取引業者A社の使用人であって、A社の宅地建物取引業を行う支店の代表者であるものが、道路交通法の規定に違反したことにより懲役の刑に処せられたとしても、A社の免許は取り消されることはない。
② 宅地建物取引業者B社の取締役が、所得税法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられたとしても、B社の免許は取り消されることはない。
③ 宅地建物取引業者である個人Cが、宅地建物取引業法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられたとしても、Cの免許は取り消されることはない。
④ 宅地建物取引業者D社の非常勤の取締役が、刑法第222条(脅迫)の罪を犯したことにより罰金の刑に処せられたとしても、D社の免許は取り消されることはない。
解説
宅建業免許の取消に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ①
宅地建物取引業者A社の使用人であって、A社の宅地建物取引業を行う支店の代表者であるものが、道路交通法の規定に違反したことにより懲役の刑に処せられたとしても、A社の免許は取り消されることはない。
×不適切です。
法人の場合、役員または政令で定める使用人(事務所の代表者など)が免許の欠格要件に該当することとなった場合、免許取り消し事由に該当します。
支店の代表者は、政令で定める使用人に該当します。そのため、支店の代表者が禁錮刑以上の刑である懲役刑に処せられた場合、政令で定める使用人が免許の欠格要件に該当します。
つまり、宅地建物取引業者A社の使用人であって、A社の宅地建物取引業を行う支店の代表者であるものが、道路交通法の規定に違反したことにより懲役の刑に処せられた場合、A社の免許は取り消されます。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
宅地建物取引業者B社の取締役が、所得税法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられたとしても、B社の免許は取り消されることはない。
〇適切です。
宅建業者の役員が、宅建業法や暴対法違反、傷害罪や暴行罪や脅迫罪などの暴力的犯罪、背任罪などで罰金刑に処せられた場合、免許取り消し事由に該当します。
しかし、選択肢の説明の通り、役員が所得税法の規定に違反したことによって罰金刑に処せられても、免許取消事由には該当しませんので免許は取り消されません。よってこの選択肢は適切です。
選択肢 ③
宅地建物取引業者である個人Cが、宅地建物取引業法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられたとしても、Cの免許は取り消されることはない。
×不適切です。
宅建業法に違反して罰金刑に処せられた場合は、免許取り消し事由に該当します。
つまり、宅地建物取引業者である個人Cが、宅地建物取引業法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられた場合には、Cの免許は取り消されます。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ④
宅地建物取引業者D社の非常勤の取締役が、刑法第222条(脅迫)の罪を犯したことにより罰金の刑に処せられたとしても、D社の免許は取り消されることはない。
×不適切です。
宅建業者の役員が脅迫罪による罰金刑に処せられた場合、免許取り消し事由に該当します。
なお非常勤であっても、役員に含まれます。
つまり、宅地建物取引業者D社の非常勤の取締役が、刑法第222条(脅迫)の罪を犯したことにより罰金の刑に処せられた場合には、D社の免許は取り消されます。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢②となります。
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