今日は、宅地建物取引士試験 令和3年度(12月) 第37問について解説します。
令和2年度と3年度は、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置として、受験者分散の目的で10月と12月の2回試験が実施されました。
★出題テーマ【宅建業法-宅建士制度】★
宅地建物取引士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において「登録」とは、宅地建物取引士の登録をいうものとする。
① 甲県知事の登録を受けている宅地建物取引士は、乙県に主たる事務所を置く宅地建物取引業者の専任の宅地建物取引士となる場合、乙県知事に登録の移転を申請しなければならない。
② 宅地建物取引士の氏名等が登載されている宅地建物取引士資格登録簿は一般の閲覧に供されることとはされていないが、専任の宅地建物取引士は、その氏名が宅地建物取引業者名簿に登載され、当該名簿が一般の閲覧に供される。
③ 宅地建物取引士が、刑法第204条(傷害)の罪により罰金の刑に処せられ、登録が消除された場合、当該登録が消除された日から5年を経過するまでは、新たな登録を受けることができない。
④ 未成年者は、宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有していたとしても、成年に達するまでは登録を受けることができない。
解説
宅建士制度(登録など)に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ①
甲県知事の登録を受けている宅地建物取引士は、乙県に主たる事務所を置く宅地建物取引業者の専任の宅地建物取引士となる場合、乙県知事に登録の移転を申請しなければならない。
×不適切です。
登録している都道府県以外にある事務所で業務に従事しているとき、または従事しようとするときには、登録の移転を行うことができます。
なお、登録の移転は任意であり、業務に関連しても、必ずしなければならないわけではありません。
つまり、甲県知事の登録を受けている宅地建物取引士は、乙県に主たる事務所を置く宅地建物取引業者の専任の宅地建物取引士となる場合、乙県知事に登録の移転を申請することができます。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
宅地建物取引士の氏名等が登載されている宅地建物取引士資格登録簿は一般の閲覧に供されることとはされていないが、専任の宅地建物取引士は、その氏名が宅地建物取引業者名簿に登載され、当該名簿が一般の閲覧に供される。
〇適切です。※注意が必要です
宅建士資格登録簿は、宅建業者名簿のように一般の閲覧に供されることはありません。
一方で、現行の宅建業法(令和6年6月19日施行)において、専任の宅建士の氏名は宅建業者名簿の登載事項となっています。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
※ご注意ください※
宅建業法は法改正(令和7年4月1日施行)が予定されており、宅建業者名簿の登載事項に関しての変更が含まれています。
そのため、令和7年度以降の試験対策ではこの解説内容は適切ではない可能性があります。
令和7年度試験を受験予定の方は、ご注意いただければと思います。このブログも次年度に最新情報に更新予定です。
選択肢 ③
宅地建物取引士が、刑法第204条(傷害)の罪により罰金の刑に処せられ、登録が消除された場合、当該登録が消除された日から5年を経過するまでは、新たな登録を受けることができない。
×不適切です。
宅建業法や暴対法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)違反、傷害罪や暴行罪や脅迫罪などの暴力的犯罪、背任罪などで罰金刑を受けた者は、刑の執行が終了した日、または執行を受けることがなくなった日から5年間登録を受けることができません。
つまり、宅地建物取引士が、刑法第204条(傷害)の罪により罰金の刑に処せられ、登録が消除された場合、刑の執行が終了した日、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過するまでは、新たな登録を受けることができません。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ④
未成年者は、宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有していたとしても、成年に達するまでは登録を受けることができない。
×不適切です。
原則として未成年者は、宅建士試験に合格しても登録を受けることができませんが、宅建業に係る営業に関して、成年者と同一の行為能力を有している場合には、登録を受けることができます。
つまり、未成年者は、宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有している場合には、登録を受けることができます。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢②となります。
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