今日は、宅地建物取引士試験 令和2年度(12月) 第36問について解説します。

令和2年度と3年度は、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置として、受験者分散の目的で10月と12月の2回試験が実施されました。

 

★出題テーマ【宅建業法-業務上の規制】★

令和2年度(12月)宅地建物取引士試験 第36

宅地建物取引業者の守秘義務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

①  宅地建物取引業者は、依頼者本人の承諾があった場合でも、秘密を他に漏らしてはならない。

②  宅地建物取引業者が、宅地建物取引業を営まなくなった後は、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしても、法に違反しない。

③  宅地建物取引業者は、裁判の証人として、その取り扱った宅地建物取引に関して証言を求められた場合、秘密に係る事項を証言することができる。

④  宅地建物取引業者は、調査の結果判明した法第35条第1項各号に掲げる事項であっても、売主が秘密にすることを希望した場合は、買主に対して説明しなくてもよい。

 

 

 

解説

業務上の規制(守秘義務)に関する問題です。

 

それではさっそく選択肢をみていきましょう。

 


選択肢 ①

宅地建物取引業者は、依頼者本人の承諾があった場合でも、秘密を他に漏らしてはならない

 

×不適切です。

宅建業者は、正当な理由がある場合でなければ、業務上知り得た秘密を他に漏らしてはならないという守秘義務があります。

なお、依頼者本人の承諾は、正当な理由に該当するものとされています。

つまり、宅地建物取引業者は、依頼者本人の承諾があった場合であれば、秘密を他に漏らしても宅建業法上守秘義務違反とはなりません。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ②

宅地建物取引業者が、宅地建物取引業を営まなくなった後は、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしても、法に違反しない

 

×不適切です。

宅建業者は、正当な理由がある場合でなければ、業務上知り得た秘密を他に漏らしてはなりませんが、宅建業を営まなくなった後でも、同様に守秘義務が継続します。

つまり、宅地建物取引業者が、宅地建物取引業を営まなくなった後も秘密を守る義務は継続しますので、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らした場合は、法に違反します。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ③

宅地建物取引業者は、裁判の証人として、その取り扱った宅地建物取引に関して証言を求められた場合、秘密に係る事項を証言することができる。

 

〇適切です。

秘密を守る義務を負わない正当な理由には、法律上秘密事項を告げる義務がある場合が挙げられます。

例えば、裁判の証人として証言を求められた場合はこれに該当します。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ④

宅地建物取引業者は、調査の結果判明した法第35条第1項各号に掲げる事項であっても、売主が秘密にすることを希望した場合は、買主に対して説明しなくてもよい

 

×不適切です。

法35条1項各号に掲げる事項は、重要事項として書面を交付して宅建士に説明をさせる義務がある事項のことです。

これらの事項は、買主に対して必ず説明しなければなりません。

したがって、物件調査の結果判明した事項がある場合、売主の希望の有無にかかわらず、宅建士が書面を交付して説明する義務があります。

なお、この場合、法律上秘密事項を告げる義務がある場合に該当しますので、宅建業者が売主の意向に反して買主に秘密を告げることは、守秘義務違反行為とはなりません。

つまり、宅地建物取引業者は、調査の結果判明した法第35条第1項各号に掲げる事項について、売主が秘密にすることを希望した場合であっても、買主に対して説明する義務があります。よってこの選択肢は不適切です。

 


 

以上から、正解は選択肢③となります。

 

 

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