今日は、宅地建物取引士試験 令和2年度(12月) 第26問について解説します。
令和2年度と3年度は、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置として、受験者分散の目的で10月と12月の2回試験が実施されました。
★出題テーマ【宅建業法-業務上の規制】★
次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
① 宅地建物取引業者は、建物の売買に際し、買主に対して売買代金の貸借のあっせんをすることにより、契約の締結を誘引してはならない。
② 宅地建物取引士は、自ら役員を務める宅地建物取引業者が宅地建物取引業に関し不正な行為をし、情状が特に重いことにより免許を取り消された場合、宅地建物取引士の登録を消除されることとなる。
③ 宅地建物取引業者は、建築工事完了前の賃貸住宅について、借主として貸借の契約を締結してはならない。
④ 宅地建物取引業者は、10区画以上の一団の宅地の分譲を行う案内所を設置し、当該案内所において売買の契約の締結をし、又は契約の申込みを受ける場合は、当該案内所にその業務に関する帳簿を備え付けなければならない。
解説
業務上の規制に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ①
宅地建物取引業者は、建物の売買に際し、買主に対して売買代金の貸借のあっせんをすることにより、契約の締結を誘引してはならない。
×不適切です。
売買代金の貸借のあっせんとは、不動産を購入する際に必要な資金について、融資先となる金融機関を紹介し、その融資手続きなどを取り計らうことを指します。宅建業者が金融機関と提携して提供する住宅ローン商品(いわゆる提携ローン)などが典型例です。
宅建業法上、売買代金の貸借をあっせんすることによって契約の締結を誘引する行為は禁止されていません。
ただし、手付の貸付等をすることで契約の締結を誘引する行為は、禁止されています。
つまり、宅地建物取引業者は、建物の売買に際し、買主に対して手付の貸付等をすることにより、契約の締結を誘引してはなりません。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
宅地建物取引士は、自ら役員を務める宅地建物取引業者が宅地建物取引業に関し不正な行為をし、情状が特に重いことにより免許を取り消された場合、宅地建物取引士の登録を消除されることとなる。
〇適切です。
宅建業者が宅建業法に関して不正な行為をして、情状が特に重く、免許取消処分を受けた法人において役員を務める者は、宅建士の欠格要件に該当しますので、宅建士の登録を消除されます。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ③
宅地建物取引業者は、建築工事完了前の賃貸住宅について、借主として貸借の契約を締結してはならない。
×不適切です。
そもそもこの選択肢では、宅建業者自らが借主となる賃貸借契約なので、宅建業法の適用はありませんが、未完成物件に関して次のポイントについておさえてきましょう。
宅建業者が未完成物件の取引等に関して規制を受けるのは、業務に関する広告や、売買・交換に関する取引です。
賃貸物件については、完成前であっても宅建業法上、賃貸借契約を締結することに関して制限はありません。媒介や代理をして賃貸借契約を締結することも可能です。
つまり、宅地建物取引業者は、建築工事完了前の賃貸住宅について、借主として貸借の契約を締結することができます。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ④
宅地建物取引業者は、10区画以上の一団の宅地の分譲を行う案内所を設置し、当該案内所において売買の契約の締結をし、又は契約の申込みを受ける場合は、当該案内所にその業務に関する帳簿を備え付けなければならない。
×不適切です。
宅建業者は、事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え付けなければなりません。
事務所とは、宅建業者が継続的に営業の拠点として使用する、実体のある施設を指します。
一団の宅地の分譲を行う案内所は、継続的に業務を行なうことができる施設ではなく、事務所に該当しません。
つまり、宅地建物取引業者は、10区画以上の一団の宅地の分譲を行う案内所を設置し、当該案内所において売買の契約の締結をし、又は契約の申込みを受ける場合は、当該案内所にその業務に関する帳簿を備え付ける必要はありません。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢②となります。
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