今日は、宅地建物取引士試験 令和2年度(10月) 第27問について解説します。

令和2年度と3年度は、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置として、受験者分散の目的で10月と12月の2回試験が実施されました。

 

★出題テーマ【宅建業法-業務上の規制】★

令和2年度(10月)宅地建物取引士試験 第27

宅地建物取引業者がその業務に関して行う広告に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア 建物の売却について代理を依頼されて広告を行う場合、取引態様として、代理であることを明示しなければならないが、その後、当該物件の購入の注文を受けたときは、広告を行った時点と取引態様に変更がない場合を除き、遅滞なく、その注文者に対し取引態様を明らかにしなければならない。

イ  広告をするに当たり、実際のものよりも著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示をしてはならないが、誤認させる方法には限定がなく、宅地又は建物に係る現在又は将来の利用の制限の一部を表示しないことにより誤認させることも禁止されている。

ウ  複数の区画がある宅地の売買について、数回に分けて広告をする場合は、広告の都度取引態様の別を明示しなければならない。

エ 宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に必要な都市計画法に基づく開発許可、建築基準法に基づく建築確認その他法令に基づく許可等の申請をした後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。

① 一つ

② 二つ

③ 三つ

④ 四つ
 

 

 

解説

業務上の規制、とりわけ広告に関する問題です。

 

それではさっそく選択肢をみていきましょう。

 


選択肢 ア

建物の売却について代理を依頼されて広告を行う場合、取引態様として、代理であることを明示しなければならないが、その後、当該物件の購入の注文を受けたときは、広告を行った時点と取引態様に変更がない場合を除き、遅滞なく、その注文者に対し取引態様を明らかにしなければならない。

 

×不適切です。

取引態様の別を明示するとは、宅建業者が宅地または建物の売買、交換、貸借において、自己が契約の当事者であるのか、代理人となるのか、または媒介をするのか、いずれかの立場で取引に関与するのかを明らかにするということを指します。

宅建業者は、取引にかかる広告をするとき、その広告で取引態様の別を明示する義務があります。

また、取引に関する注文を受けたときは、遅滞なく、注文者に対して取引態様の別を明らかにしなければなりません。

なお、これらの規定に関して、取引態様に変更がない場合は除くという例外はありません。

つまり、建物の売却について代理を依頼されて広告を行う場合、取引態様として、代理であることを明示しなければならないが、その後、当該物件の購入の注文を受けたときは、広告を行った時点と取引態様に変更がない場合であっても、遅滞なく、その注文者に対し取引態様を明らかにしなければなりません。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 イ

広告をするに当たり、実際のものよりも著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示をしてはならないが、誤認させる方法には限定がなく、宅地又は建物に係る現在又は将来の利用の制限の一部を表示しないことにより誤認させることも禁止されている。

 

〇適切です。

宅建業者は、広告を行う際、著しく事実に相違する表示や、実際のものよりも著しく優良または有利であると誤認させる表示をしてはなりません。

なお、誤認させる方法については限定がなく、あえて事実を表示しないことによって、誤認を誘う方法も禁止されています。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ウ

複数の区画がある宅地の売買について、数回に分けて広告をする場合は、広告の都度取引態様の別を明示しなければならない。

 

〇適切です。

宅建業者は、取引にかかる広告をするとき、その広告で取引態様の別を明示する義務があります。

広告を複数回に分けて行う場合も、すべての広告において取引態様の別を明示する必要があります。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 エ

宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に必要な都市計画法に基づく開発許可、建築基準法に基づく建築確認その他法令に基づく許可等の申請をした後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。

 

×不適切です。

宅建業者は、宅地の造成または建物の建築に関する工事の完了前においては、その工事に関して必要な許可等の処分があった後でなければ、業務に関する広告、および売買や交換に関する取引を行うことはできません。

具体的には、都市計画法による開発許可や建築の許可、建築基準法による建築確認、その他必要な許可等の処分の後でなければ広告や売買・交換に関する取引を行うことはできませんので、これらの行政手続き中であっても同様に禁止されます。

つまり、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に必要な都市計画法に基づく開発許可、建築基準法に基づく建築確認その他法令に基づく必要な許可等の処分があった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはなりません。よってこの選択肢は不適切です。

 


 

以上から、正しい選択肢はイとウの2つですので、正解は選択肢②となります。

 

 

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