今日は、宅地建物取引士試験 令和1年度 第12問について解説します。

 

★出題テーマ【権利関係-借地借家法/借家権】★

令和1年度宅地建物取引士試験 第12

AがBに対し、A所有の甲建物を3年間賃貸する旨の契約をした場合における次の記述のうち、民法および借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか(借地借家法第39条に定める取り壊し予定の建物の賃貸借および同法第40条に定める一時使用目的の建物の賃貸借は考慮しないものとする)。

 

① AB間の賃貸借契約について、契約の更新がない旨を定めるには、公正証書による等書面によって契約すれば足りる。

 

②  甲建物が居住の用に供する建物である場合には、契約の更新がない旨を定めることはできない。

 

③  AがBに対して、期間満了の3月前までに更新しない旨の通知をしなければ、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされるが、その期間は定めがないものとなる。

 

④ Bが適法に甲建物をCに転貸していた場合、Aは、Bとの賃貸借契約が解約の申入れによって終了するときは、特段の事情がない限り、Cにその旨の通知をしなければ、賃貸借契約の終了をCに対抗することができない。

 

 

 

解説

借地借家法に基づく規定などに関する問題です。

 

それではさっそく選択肢をみていきましょう。

 


選択肢 ①

AB間の賃貸借契約について、契約の更新がない旨を定めるには、公正証書による等書面によって契約すれば足りる

 

×不適切です。

契約の更新がなく、期間満了により終了するためには、定期建物賃貸借として契約する必要があります。

定期建物賃貸借契約とするためには、公正証書による等書面によって契約することに加えて、賃貸借契約に期間を定めて、更新がなく、契約期間の満了により契約が終了することについて、貸主は契約前にあらかじめ、借主に説明し、書面を交付する必要があります。なお借主の承諾があれば、書面の交付に変えて、電磁的方法によって提供することもできます。

つまり、AB間の賃貸借契約について、契約の更新がない旨を定めるには、公正証書による等書面によって契約することに加えて、AがBに対してあらかじめ契約の更新がなく、期間満了によって終了する旨を書面を交付して説明する必要があります。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ②

甲建物が居住の用に供する建物である場合には、契約の更新がない旨を定めることはできない

 

×不適切です。

定期建物賃貸借契約の対象となる建物の用途については、特に規定はなく、居住用の建物でも定期建物賃貸借契約を締結することができます。

つまり、甲建物が居住の用に供する建物である場合でも、契約の更新がない旨を定めることができます。(定期建物賃貸借契約の対象となる建物の、用途についての制限は特にありません。)よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ③

AがBに対して、期間満了の3月前までに更新しない旨の通知をしなければ、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされるが、その期間は定めがないものとなる。

 

×不適切です。

期間の定めのある賃貸借契約において、契約期間満了までに貸主と借主の間で特段の協議や手続きがなされない場合、従前の契約と同一の条件で更新をしたものとみなされる「法定更新」となります。

この場合、期間の定めがないものとして扱われます。また、更新しない旨の通知をしなければならない時期は、期間満了の1年前から6か月前までとされています。

つまり、AがBに対して、期間満了の1年前から6か月前までに更新しない旨の通知をしなければ、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされますが、その期間は定めがないものとなります。よってこの選択肢は不適切です。

 

また、更新拒絶の通知は、貸主・借主いずれからの申し出であっても必要です。

さらに、貸主から更新拒絶を申し出る場合には、正当事由が必要であることも重要なポイントです。

 


選択肢 ④

Bが適法に甲建物をCに転貸していた場合、Aは、Bとの賃貸借契約が解約の申入れによって終了するときは、特段の事情がない限り、Cにその旨の通知をしなければ、賃貸借契約の終了をCに対抗することができない。

 

〇適切です。

この選択肢について、借地借家法の規定から確認していきましょう。

建物が転貸されている場合、建物の賃貸借契約が期間の満了または解約の申入れによって終了するときは、建物の賃貸人は、建物の転借人にその旨の通知をしなければ、その終了を建物の転借人に対抗することができないとされています。(借地借家法34条)

 

選択肢の説明の通り、貸主Aは、借主(転貸人)Bとの賃貸借契約が解約の申入れによって終了するとき、転借人であるCにその旨の通知をしなければ、賃貸借契約の終了をCに対抗することができませんので、この選択肢は適切です。

また、終了の通知をした場合には、通知された日から6か月を経過することによって賃貸借契約は終了します。この点もおさえておくといいですね。

 


 

以上から、正解は選択肢④となります。

 

 

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