今日は、令和6年度 第7問について解説します。

令和6年度賃貸不動産経営管理士試験 第7

賃貸住宅の維持保全に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

①  機器の交換は、劣化状況と収支状況に鑑み、法定耐用年数のみにとらわれず実施することが求められる。

②  事故や故障が起きてから修繕を行うのではなく、事故や故障が起きないようにあらかじめ適切な処置を施すことが必要である。

③  事故や故障の復旧を急ぐあまり、十分な検証をせずに部分的補修をすると設備全体の修繕周期の把握が困難となることが多い。

④  経済的な観点からは、事故や故障が起きてから修繕を行う事後保全が望ましい。

 

 

 

解説

建物の維持保全に関する問題です。

賃貸住宅の維持保全は、問題が起きてから行うのではなく、問題が起きないようあらかじめ適切な処置を施す「予防保全」が重要です。

このポイントさえ押さえておけば、それぞれの選択肢の解答につながるでしょう。

それではさっそく選択肢を確認しましょう。


選択肢 ①

機器の交換は、劣化状況と収支状況に鑑み、法定耐用年数のみにとらわれず実施することが求められる。

 

〇適切です。

予防保全の観点から、法定耐用年数のみにとらわれず、実際の劣化状況や収支の状況を見ながら交換、保守、修繕を行う必要があります。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ②

事故や故障が起きてから修繕を行うのではなく、事故や故障が起きないようにあらかじめ適切な処置を施すことが必要である。

 

〇適切です。

賃貸住宅の維持保全管理においては、事後的な対応(事後保全)ではなく、事故や故障などの問題が起きないよう、あらかじめ適切な処置を施す予防保全が重要です。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ③

事故や故障の復旧を急ぐあまり、十分な検証をせずに部分的補修をすると設備全体の修繕周期の把握が困難となることが多い。

 

〇適切です。

事故や故障は突然起こるもので、復旧に急を要することも多いです。

復旧を急ぐあまり、十分な検討ができず、部分的な補修となってしまうことや、性能や耐久性が異なる部品に交換することで設備全体の修繕周期の把握が困難となることがあります。これは事後保全のデメリットのひとつと言えます。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ④

経済的な観点からは、事故や故障が起きてから修繕を行う事後保全が望ましい

 

×不適切です

まだ使えるのに、修繕したら不経済ではないかという考え方もあるでしょう。

事後保全は、短期的なコスト削減にはなり得る場合もありますが、応急処置の積み重ねは、長期的にはトータルコストの増加やトラブルの増加につながります。

事後保全は、長期的にみると、予防保全よりも経済的とは言えません。

つまり、経済的な観点からは、事故や故障などの問題が起きないようあらかじめ適切な処置を施す予防保全が望ましいです。よってこの選択肢は不適切です。

 


 

以上から、正解は選択肢④となります。

 

 

 

 

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