今日は、令和6年度 第5問について解説します。
委任契約の成立及び終了に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
① 委任契約は、書面による合意がなくても成立する諾成契約である。
② 委任契約が解除されて終了した場合、契約当初に遡って解除の効力が生じる。
③ 委任契約が終了した場合、急迫の事情があるときは、受任者、その相続人又は法定代理人は、委任者、その相続人又は法定代理人が委任事務を処理することができるようになるまで、必要な処分をしなければならない。
④ 委任契約が途中で終了した場合、その終了が委任者の責めに帰することができない事由によるときは、受任者は既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
解説
委任に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
委任契約は、書面による合意がなくても成立する諾成契約である。
〇適切です。
諾成契約(だくせいけいやく)とは、当事者の意思表示が合致するだけで成立する契約のことで、民法上は書面による合意がなくても成立します。
選択肢の説明の通り、委任契約は委任者からの依頼に対して受任者が承諾すれば成立する諾成契約であり、書面による合意がなくても成立しますので、この選択肢は適切です。
選択肢 ②
委任契約が解除されて終了した場合、契約当初に遡って解除の効力が生じる。
×不適切です
委任契約は、継続的関係がある契約です。
契約当初に遡ってしまうと、解除までに行ってきた委任事務の根拠がなくなってしまうことになり、混乱が生じます。
そのため、委任契約の解除は遡って効力が生じる(遡及効)ことはありません。
つまり、委任契約が解除されて終了した場合、将来に向かってのみ解除の効力が生じます(遡及効はありません)。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
委任契約が終了した場合、急迫の事情があるときは、受任者、その相続人又は法定代理人は、委任者、その相続人又は法定代理人が委任事務を処理することができるようになるまで、必要な処分をしなければならない。
〇適切です。
委任契約が終了した場合において、急迫の事情があるときには、受任者またはその相続人もしくは法定代理人は、委任者またはその相続人もしくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければなりません。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
委任契約が途中で終了した場合、その終了が委任者の責めに帰することができない事由によるときは、受任者は既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
〇適切です。
受任者は、(1)委任者の責に帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなった (2)委任が履行の途中で終了した 場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができます。
選択肢の説明の通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢②となります。
ぜひ関連解説もあわせてご確認いただければと思います。
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