今日は、令和6年度 第49問について解説します。
賃貸不動産経営管理士に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
① 賃貸不動産経営管理士は、サブリース方式による賃貸借契約に関して、賃貸住宅管理業法が、特定賃貸借契約に係る規律と転貸借契約に係る規律を定めているので、民法や借地借家法などの規律は適用されないことに留意する必要がある。
② 賃貸住宅管理業法では管理業務を、賃貸住宅の維持保全を行う業務とその業務と併せて行う家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理を行う業務に限定していることから、賃貸不動産経営管理士が原状回復の範囲の決定に係る事務や明渡しの事務に関わることは求められていない。
③ 賃貸不動産経営管理士には、賃貸不動産経営を支援する業務として予算計画書、収支報告書、物件状況報告書、改善提案書の作成を担うことが期待されるが、予算差異分析は会計等の専門知識が必要なことから、その分析書は税理士が作成することが義務付けられている。
④ 10~30年程度の将来について、いつ頃、何を、どのように、いくらくらいかけて修繕するかを示す長期修繕計画書を作成することは、賃貸住宅の資産価値を維持する上で重要な事務であり、賃貸不動産経営管理士が作成した場合は、専門家としての責任の所在を明確にするために、記名することが望ましい。
解説
賃貸不動産経営管理士の役割に関する問題です。
賃貸不動産経営管理士は、賃貸不動産経営や管理の専門家として、入居者の居住の安定の確保および賃貸住宅の賃貸に係る事業の公正かつ円滑な実施のために、貸主からの委託に基づいて多岐にわたる業務の管理・監督または自ら実施する役割を担うことが期待されています。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
賃貸不動産経営管理士は、サブリース方式による賃貸借契約に関して、賃貸住宅管理業法が、特定賃貸借契約に係る規律と転貸借契約に係る規律を定めているので、民法や借地借家法などの規律は適用されないことに留意する必要がある。
×不適切です
賃貸住宅管理業法はサブリース契約(特定賃貸借契約)に関する規律を定めていますが、それによって民法や借地借家法の適用が排除されるわけではありません。
むしろ、転貸借契約は民法や借地借家法の規律のもとに成り立つものであり、これらの法律を無視することはできません。
つまり、賃貸不動産経営管理士は、サブリース方式による賃貸借契約に関して、賃貸住宅管理業法が、特定賃貸借契約に係る規律を定めているにすぎず、転貸借契約には民法や借地借家法などの規律が適用されることに留意して、適切に業務を遂行する必要があります。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
賃貸住宅管理業法では管理業務を、賃貸住宅の維持保全を行う業務とその業務と併せて行う家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理を行う業務に限定していることから、賃貸不動産経営管理士が原状回復の範囲の決定に係る事務や明渡しの事務に関わることは求められていない。
×不適切です
賃貸住宅管理業法における管理業務とは、賃貸住宅の貸主から委託を受けて行う業務を指し、維持保全業務と家賃等の金銭の管理業務と定義しておりそれ以外の業務については賃貸住宅管理業法上の管理業務とはいいません。
ただし、賃貸住宅管理業者に求められる業務はこれにとどまるものではありませんので、賃貸不動産経営管理士に求められる役割も賃貸住宅管理業法上の管理業務に限るものではありません。
賃貸不動産経営管理士に求められる業務としては、賃貸借契約関係一般で求められる、家賃等の収納、契約更新に係る事務、原状回復の範囲の決定に係る事務、明渡しの実現などがあります。
つまり、賃貸住宅管理業法では管理業務を、賃貸住宅の維持保全を行う業務とその業務と併せて行う家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理を行う業務に限定していますが、賃貸住宅管理業者に求められる業務はこれにとどまりませんので、賃貸不動産経営管理士が原状回復の範囲の決定に係る事務や明渡しの事務に関わることも求められています。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
賃貸不動産経営管理士には、賃貸不動産経営を支援する業務として予算計画書、収支報告書、物件状況報告書、改善提案書の作成を担うことが期待されるが、予算差異分析は会計等の専門知識が必要なことから、その分析書は税理士が作成することが義務付けられている。
×不適切です
賃貸不動産経営管理士には、賃貸不動産経営を支援する業務を行うことが期待されています。
具体的には、予算計画書、収支報告書、物件状況報告書、改善提案書などを作成し、貸主に適切なアドバイスを行うことが求められます。
また、賃貸不動産経営管理士は、賃貸不動産経営の専門家として、予算計画書と収支報告書の差異に着目する予算差異分析を行い、それに基づく対応策の検討や貸主への提言を行うことも求められています。
なお、税理士の独占業務である税務に関するものでなければ、予算差異分析の作成を税理士が行うことが法律上義務付けられているわけではありません。
つまり、賃貸不動産経営管理士には、賃貸不動産経営を支援する業務として予算計画書、収支報告書、物件状況報告書、改善提案書の作成を担うことが期待され、予算差異分析についても、賃貸不動産経営の専門家として、分析書を作成して、それに基づく対応策の検討や貸主への提言なども求められています。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ④
10~30 年程度の将来について、いつ頃、何を、どのように、いくらくらいかけて修繕するかを示す長期修繕計画書を作成することは、賃貸住宅の資産価値を維持する上で重要な事務であり、賃貸不動産経営管理士が作成した場合は、専門家としての責任の所在を明確にするために、記名することが望ましい。
〇適切です。
賃貸不動産経営管理士が行うべき賃貸不動産経営を支援する業務として、長期修繕計画書の作成と提案があります。
長期修繕計画書とは、管理受託している賃貸不動産について、いつ、何を、どの程度、どのくらいの費用で修繕するのか、10~30 年程度の将来についての計画を作成する書面のことです。この計画は、賃貸住宅の資産価値の維持や入居者の満足度向上のために重要な役割を果たします。
なお、賃貸不動産経営管理士が長期修繕計画書などの賃貸不動産経営を支援する文書を作成した場合、専門家としての責任の所在を明確にするために、記名をすることが望ましいとされています。
また、貸主の理解を促すためにも、文書の作成を担当した賃貸不動産経営管理士が自ら、誠実かつ明瞭に口頭で説明を行うことが望ましいとされています。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢④となります。
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