今日は、令和6年度 第38問について解説します。

令和6年度賃貸不動産経営管理士試験 第38

特定転貸事業者が特定賃貸借契約を締結したときに賃貸人に対して交付しなければならない書面(以下、本問において「特定賃貸借契約締結時書面」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 

①  特定賃貸借契約重要事項説明書に、特定賃貸借契約締結時書面に記載すべき事項がすべて網羅されている場合であっても、特定転貸事業者は、賃貸人に対し、特定賃貸借契約の締結時に改めて特定賃貸借契約締結時書面を作成し交付しなければならない。

②  特定賃貸借契約締結時書面については、その様式や文字のポイントが決められており、これを満たしていない書面を交付しても、特定賃貸借契約締結時書面の交付とは認められない。

③  特定賃貸借契約締結時書面に代えて書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供するときは、出力して書面を作成することができ、電子署名を活用する等により改変が行われていないか確認できる状態にあることが必要である。

④  特定賃貸借契約につき、契約の同一性を保ったまま契約期間を延長したときは、特定賃貸借契約締結時書面の交付は行わなくても差し支えない。

 

 

解説

特定賃貸借契約の締結時書面に関する問題です。

 

それではさっそく選択肢を確認しましょう。

 


選択肢 ①

特定賃貸借契約重要事項説明書に、特定賃貸借契約締結時書面に記載すべき事項がすべて網羅されている場合であっても、特定転貸事業者は、賃貸人に対し、特定賃貸借契約の締結時に改めて特定賃貸借契約締結時書面を作成し交付しなければならない。

 

〇適切です。

特定賃貸借契約の締結前に交付する「特定賃貸借契約重要事項説明書」と、契約締結時に交付する「特定賃貸借契約締結時書面」は、いずれも特定賃貸借契約(マスターリース契約)を締結する際に交付が義務付けられています。

これらは交付するタイミングが異なる書面であるため、両書面を一体で交付することはできません。

また、重要事項説明書に締結時書面の記載事項がすべて含まれていたとしても、それによって締結時書面の交付義務を免れることはできません。

選択肢の説明の通り、特定賃貸借契約重要事項説明書に、特定賃貸借契約締結時書面に記載すべき事項がすべて網羅されている場合でも、特定賃貸借契約締結時書面を作成し交付しなければなりませんので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ②

特定賃貸借契約締結時書面については、その様式や文字のポイントが決められており、これを満たしていない書面を交付しても、特定賃貸借契約締結時書面の交付とは認められない

 

×不適切です

特定賃貸借契約締結時書面については、その様式や文字のポイントに関しての規定や推奨事項は定められていません。

強いて言えば、契約締結時における書面記載事項については、国土交通省が別途定める「特定賃貸借標準契約書」を参考にすることが推奨されています。
ただし、この標準契約書を用いない書面であっても、必要な事項が記載されていれば、特定賃貸借契約締結時書面の交付と認められます。

つまり、特定賃貸借契約締結時書面については、特定賃貸借標準契約書を参考にすることが推奨されておりますが、これを用いない書面であっても必要事項を満たしている場合は、特定賃貸借契約締結時書面の交付とは認められます。よってこの選択肢は不適切です。

なお、特定賃貸借契約重要事項説明書については、その様式や文字のポイントに関する推奨事項が定められています。
(書面の内容を十分に読むべき旨を太枠の中に太字波下線で示し、12 ポイント以上の大きさ(日本産業規格Z8305に基づく)で記載し、書面の文字や数字は8ポイント以上の大きさで記載すること)

ただし、この推奨事項もあくまで「重要事項説明書の作成にあたっての留意点」として挙げらているものであり、これを満たしていない書面を交付しても、特定賃貸借契約重要事項説明書の交付とは認められないとまでは言えないと考えられます。

 


選択肢 ③

特定賃貸借契約締結時書面に代えて書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供するときは、出力して書面を作成することができ、電子署名を活用する等により改変が行われていないか確認できる状態にあることが必要である。

 

〇適切です。

貸主の承諾を得た場合、契約締結時書面に記載すべき事項を電磁的方法によって提供することが可能です。

ただし提供するデータについては、出力して書面を作成でき、かつ改変が行われていないことを確認できる形式である必要があります。例えば、電子署名の活用などが有効とされています。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ④

特定賃貸借契約につき、契約の同一性を保ったまま契約期間を延長したときは、特定賃貸借契約締結時書面の交付は行わなくても差し支えない。

 

〇適切です。

契約内容の変更を伴わず、契約の同一性を保ったまま契約期間のみを延長(更新)する場合は、形式的な変更と認められるため、特定賃貸借契約締結時書面の交付は行わなくても差し支えないとされています。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


 

以上から、正解は選択肢②となります。

 

関連解説もあわせてご確認いただければと思います。

 

★関連解説★

特定賃貸借契約(契約締結時書面)(R3年 第36問)

特定賃貸借契約(契約締結時書面)(R4年 第38問)

 

 

 

 

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