今日は、令和6年度 第25問について解説します。

令和6年度賃貸不動産経営管理士試験 第25

建物の賃借権の譲渡及び転貸に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 

①  賃借人が死亡し遺言が無い場合は、賃貸人は相続人に対して賃貸借契約を解除することができる。

②  賃借人が第三者に対し、賃貸住宅を使用貸借により使用させることは転貸には該当しない。

③  賃貸借契約に、賃借権を無断で譲渡し又は無断で転貸することを禁ずる定めがない場合、賃借人は自由に賃借権を譲渡又は転貸することができる。

④  賃貸住宅の賃借権の譲渡につき賃貸人が承諾しない場合、賃借人は裁判所に対し、賃貸人の承諾に代わる許可を求めることはできない。

 

 

 

解説

賃借権の譲渡などに関する問題です。

 

それではさっそく選択肢を確認しましょう。


選択肢 ①

賃借人が死亡し遺言が無い場合は、賃貸人は相続人に対して賃貸借契約を解除することができる

 

×不適切です

貸主・借主の死亡時の扱いについて、まとめシートでは以下の通り解説しています。

借主が死亡した場合、相続人が賃借権を承継します。

貸主から賃貸借契約解除を解除する場合、正当事由が必要となりますが、借主の遺言がないことは正当事由にはあたりません。

賃借人が死亡し遺言が無い場合であっても、相続人が賃借権を承継し、賃貸人は相続人に対して賃貸借契約を解除することはできません。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ②

賃借人が第三者に対し、賃貸住宅を使用貸借により使用させることは転貸には該当しない

 

×不適切です

一般的に、借主が賃貸住宅を賃貸することを転貸といいます。

ただし、借主とは独立した別の第三者によって賃貸住宅が占有されている場合が転貸にあたりますので、使用貸借により無償で使用させることも、転貸に該当します。

つまり、賃借人が第三者に対し、賃貸住宅を使用貸借により使用させることは転貸に該当します。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ③

賃貸借契約に、賃借権を無断で譲渡し又は無断で転貸することを禁ずる定めがない場合、賃借人は自由に賃借権を譲渡又は転貸することができる

 

×不適切です

借主が賃貸人の承諾なしに賃借権を譲渡または転貸することは、民法により原則として禁止されています。

契約書に無断譲渡・転貸を禁じる定めがない場合でも、民法の規定が適用されるため、自由に譲渡や転貸はできません。

つまり、賃貸借契約に、賃借権を無断で譲渡し又は無断で転貸することを禁ずる定めがない場合であっても、賃借人は自由に賃借権を譲渡又は転貸することはできません。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ④

賃貸住宅の賃借権の譲渡につき賃貸人が承諾しない場合、賃借人は裁判所に対し、賃貸人の承諾に代わる許可を求めることはできない。

 

〇適切です。

貸主の承諾がない限り、借主は賃借権を譲渡したり、転貸したりすることはできません。

また、建物の賃貸借契約においては、貸主の承諾に代わる裁判を申し立てることは認められていません。

選択肢の説明の通りですので、この選択肢は適切です。

 

なお、借地契約については、借地借家法により、裁判所に対し賃貸人の承諾に代わる許可を求めることができるとされています。この点と混同しないようにしましょう。

 


 

以上から、正解は選択肢④となります。

 

本問は、選択肢④の判断が難しく感じた方もいるかもしれません。

①~③は比較的判断しやすい印象ですが、1つでも判断できない選択肢があると、「そんな規定あったっけ?」と迷ってしまいがちです。

どうしても判断ができない選択肢については、最終的には「そんなの聞いたことないからバツ!」という思い切りも時には必要になるかもしれませんね。

 

なるべく多くの過去問演習を積み重ねることが、この「そんなの聞いたことないからバツ!」という判断の信ぴょう性を高めることにつながります。

ぜひ引き続き頑張っていきましょう!

 

 

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