今日は、令和6年度 第22問について解説します。

令和6年度賃貸不動産経営管理士試験 第22

定期建物賃貸借契約に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

 

ア  賃貸人が定期建物賃貸借契約の中途解約条項に基づき、同契約を中途解約する場合、正当事由の具備は不要である。

イ  宅地建物取引業者が定期建物賃貸借契約を媒介する場合、代理権が無い場合でも、同契約は更新がなく期間の満了により終了することの説明をすれば、契約の更新がないこととする旨の定めは有効に成立する。

ウ 200㎡未満の賃貸住宅の定期建物賃貸借契約が成立しているときに、賃借人が親族の介護により同建物を生活の本拠として使用することが困難となり、賃貸人に対して解約申入れをした場合、同契約は解約申入日から1か月を経過することにより終了する。

エ  定期建物賃貸借契約の期間が1年以上のとき、賃貸人が期間満了の5か月前に、賃借人に対して同契約が終了する旨を通知した場合、同契約の期間満了日から6か月経過後に終了する。

 

1  1つ

2  2つ

3  3つ

4  4つ

 

 

解説

定期建物賃貸借契約に関する問題です。

 

それではさっそく選択肢をみていきましょう。


 

選択肢 ア

賃貸人が定期建物賃貸借契約の中途解約条項に基づき、同契約を中途解約する場合、正当事由の具備は不要である

 

×不適切です。

定期建物賃貸借契約においては、契約期間内の解約は原則として認められません。

しかし、契約に中途解約条項が設けられていて、その条項が有効であると認められる場合でも、賃貸人が解約を申し入れるためには「正当事由」が必要となります。

つまり、賃貸人が定期建物賃貸借契約の中途解約条項に基づき、同契約を中途解約する場合、正当事由の具備は必要です。よってこの選択肢は不適切です。

 

また、居住用建物の解約申し入れについては、借主に不利な特約は無効となります。

そのため、仮に賃貸人が定期建物賃貸借契約の中途解約条項に基づいて解約を申し入れたとしても、特約が無効になる場合があり、同契約の中途解約が認められない場合があります

いずれにしても、この選択肢が不適切であることに変わりはありません。

 


選択肢 イ

宅地建物取引業者が定期建物賃貸借契約を媒介する場合、代理権が無い場合でも、同契約は更新がなく期間の満了により終了することの説明をすれば、契約の更新がないこととする旨の定めは有効に成立する。

 

×不適切です。

貸主は借主に対して、契約前にあらかじめ、更新がないことについての事前説明を行う必要があります。

定期建物賃貸借契約を媒介する宅建業者が同契約について、更新がなく期間の満了により終了することの説明をするだけでは、貸主の事前説明義務を果たしたことにはなりません。

ただし、宅建業者が代理権を得て、貸主の代理人として事前説明を行うことは可能であり、その場合は契約の更新がないこととする旨の定めは有効に成立します。

つまり、宅地建物取引業者が定期建物賃貸借契約を媒介する場合、代理権が有る場合には、同契約は更新がなく期間の満了により終了することの説明をすれば、契約の更新がないこととする旨の定めは有効に成立します。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ウ

200㎡未満の賃貸住宅の定期建物賃貸借契約が成立しているときに、賃借人が親族の介護により同建物を生活の本拠として使用することが困難となり、賃貸人に対して解約申入れをした場合、同契約は解約申入日から1か月を経過することにより終了する

 

〇適切です。

200㎡未満の居住用建物の定期建物賃貸借契約については、借主に一定のやむを得ない事情がある場合には、解約の申し入れが可能とされており、その際は申し入れから1ヶ月で契約が終了します。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 エ

定期建物賃貸借契約の期間が1年以上のとき、賃貸人が期間満了の5か月前に、賃借人に対して同契約が終了する旨を通知した場合、同契約の期間満了日から6か月経過後に終了する。

 

×不適切です。

定期建物賃貸借契約において、契約期間が1年以上の場合、賃貸人は期間満了の1年前から6か月前までの間に、賃借人に対して契約が終了することを通知しなければなりません。

この通知をしなければ、貸主は借主に対して賃貸借の終了を対抗することができません。

なお、通知期間(1年前から6か月前)が経過した後に契約が終了する旨を通知した場合には、通知が到着した日から6か月を経過することによって賃貸借契約が終了します。

つまり、定期建物賃貸借契約の期間が1年以上のとき、賃貸人が期間満了の5か月前に、賃借人に対して同契約が終了する旨を通知した場合、同通知が到着した日から6か月経過後に終了します。よってこの選択肢は不適切です。

 


 

以上から、誤っている選択肢はア、イ、エの3つですので、正解は選択肢③3つ となります。

 

ぜひ関連解説もあわせて理解を深めていただければと思います。

 

★関連解説★

定期建物賃貸借契約(R3年 第26問)

定期建物賃貸借契約(R4年 第24問)

定期建物賃貸借契約(R5年 第24問)

 

2024年度版 一発合格まとめシート
2025年版は準備中です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA