今日は、令和6年度 第21問について解説します。
定期建物賃貸借契約でない賃貸住宅の賃貸借契約の契約期間と更新に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア 賃貸借契約の契約期間は、50年を超えることができない。
イ 賃貸借契約では、契約期間を定めることが賃貸借契約の成立要件である。
ウ 賃貸借契約において、賃貸人が契約の更新を拒絶する旨を通知したが、賃借人が期間満了後も賃貸住宅を使用し続け、賃貸人がこれに異議を述べない場合、賃貸借契約は更新されたものとみなされる。
エ 賃貸借契約において、賃貸人が契約期間満了を原因として契約を終了させる更新拒絶の通知には正当事由の具備が必要となるところ、財産上の給付(いわゆる立退料)は正当事由の補完要素として考慮されるに過ぎない。
1 ア、イ
2 ア、エ
3 イ、ウ
4 ウ、エ
解説
賃貸借契約における契約期間と更新に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ア
賃貸借契約の契約期間は、50 年を超えることができない。
×不適切です。
借地借家法が適用される不動産の賃貸借契約では、契約期間の上限は設けられていません。
つまり、賃貸借契約の契約期間は、上限がなく50年を超える契約も可能です。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 イ
賃貸借契約では、契約期間を定めることが賃貸借契約の成立要件である。
×不適切です。
賃貸借契約は期間の定めがなくても成立します。
つまり、賃貸借契約では、契約期間を定めなくても成立します。よってこの選択肢は不適切です。
なお、定期建物賃貸借契約については、契約期間を定めることが成立要件となっています。
選択肢 ウ
賃貸借契約において、賃貸人が契約の更新を拒絶する旨を通知したが、賃借人が期間満了後も賃貸住宅を使用し続け、賃貸人がこれに異議を述べない場合、賃貸借契約は更新されたものとみなされる。
〇適切です。
更新拒絶をして契約期間満了とともに賃貸借契約を終了したい場合は、期間満了の1年前から6か月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知をする必要があります。
更新拒絶の通知をした場合であっても、借主が契約期間満了後も使用を継続し、賃貸人が異議を述べなければ、従前と同一の条件で賃貸借契約が更新されたものとみなされます(法定更新)。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 エ
賃貸借契約において、賃貸人が契約期間満了を原因として契約を終了させる更新拒絶の通知には正当事由の具備が必要となるところ、財産上の給付(いわゆる立退料)は正当事由の補完要素として考慮されるに過ぎない。
〇適切です。
賃貸借契約において、貸主から更新拒絶を申入れる場合には、正当事由が必要です。
正当事由が認められるかどうかは、①貸主と借主がそれぞれ物件を必要としている事情 ②賃貸借に関する従前の経過 ③建物の利用状況 ④建物の状況 ⑤立退料の提供 の事由などを総合的に判断します。
なお、立退料の提供は、それ単独では正当事由にはならず、補完的な要素として扱われます。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、正しい選択肢の組合せはウとエですので、正解は選択肢④ となります。
ぜひ関連解説もあわせて理解を深めていただければと思います。
★関連解説★
2024年度版 一発合格まとめシート
2025年版は準備中です。