今日は、令和6年度 第19問について解説します。

令和6年度賃貸不動産経営管理士試験 第19

賃貸住宅管理業者による金銭の分別管理に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

 

①  賃貸住宅管理業者は、管理業務において受領する家賃等の金銭を、自己の固有財産とは別に口座を設けて管理するとともに、賃借人への返還が予定されている敷金について、他の金銭と分けて管理しなければならない。

②  賃貸住宅管理業者は、賃貸住宅が共有物であって、共有者全員との間で一つの管理受託契約を締結している場合には、管理業務において受領する家賃等の金銭につき、それぞれの共有者に分けて勘定を設け管理する必要はない。

③  賃貸住宅管理業者は、家賃等を管理する口座に入金された金銭は速やかに賃貸人に引き渡す必要があり、賃貸人に負担義務がある賃貸住宅の修繕工事を実施するにあたって、その費用を家賃等を管理する口座から拠出することはできない。

④  賃貸住宅管理業者は、管理業務において受領する家賃等を管理する口座から、管理報酬分の金額を自己の固有財産を管理する口座に移し替えてはならない。

 

 

 

解説

金銭等の分別管理に関する問題です。

 

それではさっそく選択肢を確認しましょう。


選択肢 ①

賃貸住宅管理業者は、管理業務において受領する家賃等の金銭を、自己の固有財産とは別に口座を設けて管理するとともに、賃借人への返還が予定されている敷金について、他の金銭と分けて管理しなければならない

 

×不適切です

管理業務において受領する家賃等(家賃、敷金、共益費など)を管理する口座と自己の固有財産を管理する口座を別にして、管理受託契約毎に金銭の出入を区別した帳簿を作成する等により勘定上も分別管理する必要があります。

なお、貸主への返還が予定されている敷金を分けて管理することまでは求められていません。

つまり、賃貸住宅管理業者は、管理業務において受領する家賃等の金銭を、自己の固有財産とは別に口座を設けて管理するとともに、管理受託契約毎に金銭の出入を区別した帳簿を作成する等により勘定上も分別管理する必要があります(賃借人への返還が予定されている敷金について、他の金銭と分けて管理することまでは求められていません)。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ②

賃貸住宅管理業者は、賃貸住宅が共有物であって、共有者全員との間で一つの管理受託契約を締結している場合には、管理業務において受領する家賃等の金銭につき、それぞれの共有者に分けて勘定を設け管理する必要はない。

 

〇適切です。

賃貸住宅管理業者は分別管理上、受領した金銭が、どの管理受託契約に基づく管理業務に係るものであるかが、帳簿や会計ソフト上で直ちに判別できる状態で管理することが求められます。

賃貸物件が共有物であっても、管理受託契約が1つであれば、共有者それぞれに対して分けて勘定を設けることまでは求められていません。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ③

賃貸住宅管理業者は、家賃等を管理する口座に入金された金銭は速やかに賃貸人に引き渡す必要があり、賃貸人に負担義務がある賃貸住宅の修繕工事を実施するにあたって、その費用を家賃等を管理する口座から拠出することはできない

 

×不適切です

賃貸住宅管理業者は、家賃等を管理する口座に入金された金銭は管理受託契約に定める期日の通りに賃貸人に引き渡す必要があります。

なお、貸主が負担する修繕工事を実施するにあたって、その費用を家賃等を管理する口座から差し引いたうえで貸主に引き渡すことも認められています。

ただしその場合も、金銭の出入りが明確になるよう管理する必要があります。

つまり、

賃貸住宅管理業者は、家賃等を管理する口座に入金された金銭は管理受託契約に定める期日の通りに賃貸人に引き渡す必要があり、賃貸人に負担義務がある賃貸住宅の修繕工事を実施するにあたって、その費用を家賃等を管理する口座から拠出することも認められています。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ④

賃貸住宅管理業者は、管理業務において受領する家賃等を管理する口座から、管理報酬分の金額を自己の固有財産を管理する口座に移し替えてはならない

 

×不適切です

家賃等管理口座と、固有財産管理口座は、分ける必要があります。

ただし、それぞれの口座のいずれか一方に、一時的に固有財産と家賃等の金銭が同時に預入されている状態になることは問題なく、その場合は速やかに移し替えることとされています。

このようなケースについて、まとめシートでは以下の通り解説しています。

借主から、家賃等を家賃等管理口座に振り込んでもらう形で受領し、その口座から管理報酬を固有財産管理口座に移し替えることは問題ないとされています。

つまり、賃貸住宅管理業者は、管理業務において受領する家賃等を管理する口座から、管理報酬分の金額を自己の固有財産を管理する口座に移し替えてることは問題ありません。よってこの選択肢は不適切です。

 


 

以上から、正解は選択肢②となります。

 

 

ぜひ関連解説もあわせてご確認いただければと思います。

 

★関連解説★

金銭の分別管理(R4年 第21問)

金銭の分別管理(R5年 第18問)

 

 

 

 

 

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