今日は、令和6年度 第18問について解説します。
賃借人の滞納賃料を回収するための法的手続に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
① 賃借人が賃料を滞納した場合、賃貸借契約書が執行認諾文言付きの公正証書により作成されているときは、賃貸人は、改めて訴訟を提起して確定判決を得ることなく、滞納賃料の請求について強制執行をすることができる。
② 期間内に滞納賃料の支払がない場合には期間の経過をもって賃貸借契約を解除する旨の通知は、内容証明郵便により行わなければ、賃借人が滞納賃料を支払わないまま所定の期間が経過しても、契約解除の効力は生じない。
③ 滞納賃料の支払督促に対しては異議の申立てがなくても、当該支払督促について賃貸人が行った仮執行宣言の申立てに際し、賃借人が2週間以内に異議の申立てをすれば、通常の民事訴訟の手続に移行する。
④ 既にA簡易裁判所において同一年内に10回の少額訴訟を提起している賃貸人が、同一年内に初めてB簡易裁判所に対し、その管轄に属する滞納賃料の支払請求訴訟を提起する場合には、少額訴訟を選択することができる。
解説
賃料回収に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
賃借人が賃料を滞納した場合、賃貸借契約書が執行認諾文言付きの公正証書により作成されているときは、賃貸人は、改めて訴訟を提起して確定判決を得ることなく、滞納賃料の請求について強制執行をすることができる。
〇適切です。
滞納賃料請求の強制執行を行うには、賃料を請求する権利があることを認める債務名義が必要です。
公正証書によって作成した賃貸借契約書に、執行認諾文言(債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述)が記載されている場合には、滞納賃料請求の債務名義となりますので、改めて訴訟を提起して確定判決を得なくても強制執行をすることができます。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ②
期間内に滞納賃料の支払がない場合には期間の経過をもって賃貸借契約を解除する旨の通知は、内容証明郵便により行わなければ、賃借人が滞納賃料を支払わないまま所定の期間が経過しても、契約解除の効力は生じない。
×不適切です
契約解除は、相手方に解除の意思表示が到達すれば効力を生じます。
法的には、期間内に滞納賃料の支払がない場合に、期間の経過をもって賃貸借契約を解除する旨の通知をする場合に、必ずしも内容証明郵便によって行うという決まりはなく、相手方に到達すれば有効となります。
つまり、期間内に滞納賃料の支払がない場合には期間の経過をもって賃貸借契約を解除する旨の通知は、内容証明郵便以外の方法であっても借主に解除の意思表示が到達することにより、賃借人が滞納賃料を支払わないまま所定の期間が経過しても、契約解除の効力が生じます。よってこの選択肢は不適切です。
なお、実務上は解除の意思表示を確実に証明するため、配達証明付内容証明郵便などを用いた書面での通知が一般的です。
選択肢 ③
滞納賃料の支払督促に対しては異議の申立てがなくても、当該支払督促について賃貸人が行った仮執行宣言の申立てに際し、賃借人が2週間以内に異議の申立てをすれば、通常の民事訴訟の手続に移行する。
〇適切です。
支払督促は、債務者(借主)が異議を申し立てなければ確定しますが、仮執行宣言が付されても、2週間以内に異議申し立てをすれば通常の民事訴訟に移行します。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
既にA簡易裁判所において同一年内に 10 回の少額訴訟を提起している賃貸人が、同一年内に初めてB簡易裁判所に対し、その管轄に属する滞納賃料の支払請求訴訟を提起する場合には、少額訴訟を選択することができる。
〇適切です。
少額訴訟は、簡易裁判所が管轄する訴訟制度の一つです。
原告は、同一の簡易裁判所で同一の年に、年10回を超えて少額訴訟を選択することはできません。
異なる簡易裁判所であれば、新たに少額訴訟を提起することが可能です。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢②となります。
ぜひ関連解説もあわせてご確認いただければと思います。
★関連解説★
2024年度版 一発合格まとめシート
2025年版は準備中です