今日は、令和6年度 第10問について解説します。
原状回復ガイドラインに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
① 原状回復ガイドラインによれば、原状回復とは「賃借人の居住、使用により発生した建物の損耗・毀損を復旧すること」と定義されている。
② 原状回復ガイドラインによれば、賃借人が通常の清掃を実施していない場合、住戸全体の清掃費用相当分の全額が賃借人の負担となることがある。
③ 原状回復ガイドラインによれば、賃借人の過失により畳表の張替えが必要となった場合、6年で残存価値1円となるような直線を想定し、負担割合を算定する。
④ 原状回復ガイドラインによれば、戸建賃貸住宅の庭に生い茂った雑草の原状回復費用は、賃借人の負担とはならない。
解説
「原状回復ガイドライン」に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
原状回復ガイドラインによれば、原状回復とは「賃借人の居住、使用により発生した建物の損耗・毀損を復旧すること」と定義されている。
×不適切です
原状回復ガイドラインでは、原状回復とは「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損(以下「損耗等」という。)を復旧すること」と定義しています。
選択肢では、単に借主が居住・使用したことによって発生した毀損等を復旧することを原状回復としています。
一方で、原状回復ガイドラインは、建物の価値は時間の経過で減少するため、契約で定められた使用方法や通常の使用方法に従っていれば、使用開始時より劣化していてもそのまま返還可能とされることから、原状回復は借りた当時の状態に戻すことを意味しないという考え方のもと、基準を策定したものです。
つまり、原状回復ガイドラインによれば、原状回復とは「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されています。よってこの選択肢は不適切です。
定義を全部覚える必要はありません。原状回復ガイドラインの考え方をおさえておくと良いですね。
選択肢 ②
原状回復ガイドラインによれば、賃借人が通常の清掃を実施していない場合、住戸全体の清掃費用相当分の全額が賃借人の負担となることがある。
〇適切です。
専門業者によるハウスクリーニングは、貸主が負担するものとされています。
一方で、通常の清掃を実施していない場合には、部位もしくは住居全体の清掃費用相当分を全額借主負担とすることとされています。
選択肢の説明の通り、借主が通常の清掃を実施していない場合、住戸全体の清掃費用相当分の全額が賃借人の負担となることがありますので、この選択肢は適切です。
選択肢 ③
原状回復ガイドラインによれば、賃借人の過失により畳表の張替えが必要となった場合、6年で残存価値1円となるような直線を想定し、負担割合を算定する。
×不適切です
ガイドラインによる部位別(畳)の負担と経過年数の考慮について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
畳表は消耗品に近いものとされていますので、経過年数の考慮は考慮しないものとされています。
また、原則1枚単位で毀損部分の補修に関して、借主が負担することとなります。
つまり、原状回復ガイドラインによれば、賃借人の過失により畳表の張替えが必要となった場合、経過年数は考慮せず、原則1枚単位で借主が費用を負担します。よってこの選択肢は不適切です
選択肢 ④
原状回復ガイドラインによれば、戸建賃貸住宅の庭に生い茂った雑草の原状回復費用は、賃借人の負担とはならない。
×不適切です
戸建て賃貸住宅において、草取りが適切に行われず、庭に雑草が生い茂った場合は、借主の善管注意義務違反に該当すると判断される場合は多いため、雑草の原状回復費用は借主負担とされることがあります。
つまり、原状回復ガイドラインによれば、戸建賃貸住宅の庭に生い茂った雑草の原状回復費用は、賃借人の負担すべきとしています。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢②となります。
原状回復ガイドラインに関する問題は例年複数問出題されています。
ぜひ関連解説もあわせて理解を深めていただければと思います。
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