今日は、令和5年度 第47問について解説します。
給水設備に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。
① 給水圧力が高い場合などにおいて、給水管内の水流を急に締め切ったときに、水の慣性で管内に衝撃と高水圧が発生するウォーターハンマー現象は、器具の破損や漏水の原因となる。
② 給水管内に発生する錆による赤水や腐食障害を防止するため、給水配管には、各種の樹脂ライニング鋼管・ステンレス鋼鋼管・銅管・合成樹脂管などが使用されている。
③ クロスコネクションとは、飲料水の給水・給湯系統の配管が飲料水以外の系統の配管と接続されていることである。
④ 直結直圧方式は、水道水をいったん受水槽に貯め、これをポンプで屋上や塔屋等に設置した高置水槽に汲み上げて給水する方式であり、給水本管の断水や停電時にも短時間ならば給水が可能である。
解説
給水設備に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
給水圧力が高い場合などにおいて、給水管内の水流を急に締め切ったときに、水の慣性で管内に衝撃と高水圧が発生するウォーターハンマー現象は、器具の破損や漏水の原因となる。
〇適切です。
ウォーターハンマー現象とは、バルブを急に開閉するなどした場合に、配管の中を流れる水の圧力が急に変化し、配管の内部で激しくぶつかってしまう現象のことで、水道管をハンマーで叩いたような音がする場合があります。
ウォーターハンマー現象は、メーターの損傷やバルブの損傷、漏水などを引き起こす原因にもなります。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ②
給水管内に発生する錆による赤水や腐食障害を防止するため、給水配管には、各種の樹脂ライニング鋼管・ステンレス鋼鋼管・銅管・合成樹脂管などが使用されている。
〇適切です。
給水配管は、腐食を防ぐため、耐久性や耐腐食性に優れた材料を使用する必要があります。
そのため、給水配管には、錆による劣化を防止するのに効果的な材質である、各種の樹脂ライニング鋼管・ステンレス鋼鋼管・銅管・合成樹脂管などが使用されています。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ③
クロスコネクションとは、飲料水の給水・給湯系統の配管が飲料水以外の系統の配管と接続されていることである。
〇適切です。
クロスコネクションとは、飲料水の給水・給湯系統の配管と、その他の系統の配管が直接接続されていることです。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
ちなみに、一般的な集合住宅でクロスコネクションが発生することは、設計や施工が正しく行われていれば通常はありません。
日本では水道法や建築基準法に基づいて、給水設備の設計や施工が厳密に管理されており、飲料水の安全を守るための基準が設けられています。
そのため、正規の施工業者によって設置された給水設備では、飲料水と非飲料水の配管が交差するようなことは避けられています。
一方で、古い建物で設備更新がされていない場合、長年の修理や改造によって意図せずにクロスコネクションが発生することがあります。
給水設備に関しても、もちろん定期的なメンテナンスや点検が重要ですね。
選択肢 ④
直結直圧方式は、水道水をいったん受水槽に貯め、これをポンプで屋上や塔屋等に設置した高置水槽に汲み上げて給水する方式であり、給水本管の断水や停電時にも短時間ならば給水が可能である。
×不適切です
給水方式は、水道直結方式(水道本管から分岐した給水管によって各住戸へ直接給水)と、受水槽方式(いったん水槽に水を貯めてから各住戸へ給水)があります。
水道直結方式のうち、直結直圧方式について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
直結直圧方式は、水道本管から分岐した給水管から各住戸で直接給水する方式です。
この給水方式は、受水槽やポンプを必要としません。3階建てくらいまでの低層で小規模な建物に使われています。
また、選択肢の説明のように、水道水をいったん受水槽に蓄え、揚水ポンプで建物屋上の高置水槽までくみ上げ、各住戸に給水する方式は、受水槽方式のうち高置(高架)水槽方式です。
高置(高架)水槽方式は、2つの水槽に水を蓄えているので、断水しても、停電しても、すぐには水が止まらずに短時間なら給水できるというメリットがあります。
つまり、高置(高架)水槽方式は、水道水をいったん受水槽に貯め、これをポンプで屋上や塔屋等に設置した高置水槽に汲み上げて給水する方式であり、給水本管の断水や停電時にも短時間ならば給水が可能です。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢④となります。
ぜひ関連解説もあわせてご確認いただければと思います。
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