今日は、令和5年度 第41問について解説します。
宅地建物取引業者の障害者に対する対応に関する次の記述のうち、「国土交通省所管事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」(平成29年3月)に照らし、誤っているものはどれか。
① 宅地建物取引業者が障害者に対して「火災を起こす恐れがある」等の懸念を理由に仲介を断ることは、不当な差別的取扱いに該当しない。
② 宅地建物取引業者が物件広告に「障害者お断り」として入居者募集を行うことは、不当な差別的取扱いに該当する。
③ 宅地建物取引業者が、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いに該当しない。
④ 宅地建物取引業者が障害者に対して障害を理由とした誓約書の提出を求めることは、不当な差別的取扱いに該当する。
解説
障害者差別解消法に基づいた対応指針に関する問題です。
「国土交通省所管事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」では、障害者差別解消法に基づき、事業者が障害者に対して不当な差別的取扱いを行わないようにし、合理的配慮を提供することを求めています。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢 ①
宅地建物取引業者が障害者に対して「火災を起こす恐れがある」等の懸念を理由に仲介を断ることは、不当な差別的取扱いに該当しない。
×不適切です。
障害を理由にサービスの提供を拒否したり、他の人と異なる扱いをすることは、勧誘不当な差別的取扱いであるとして禁止されています。
客観的に見て正当な理由がないにもかかわらず、「火災を起こす恐れがある」等の懸念を理由に、宅建業者が仲介を断ることは不当な差別的取り扱いと言えます。
つまり、宅地建物取引業者が障害者に対して「火災を起こす恐れがある」等の懸念を理由に仲介を断ることは、不当な差別的取扱いに該当します。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
宅地建物取引業者が物件広告に「障害者お断り」として入居者募集を行うことは、不当な差別的取扱いに該当する。
〇適切です。
物件一覧表や物件広告に「障害者不可」などと記載することは、不当な差別的取扱いに該当します。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ③
宅地建物取引業者が、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いに該当しない。
〇適切です。
障害を理由としない、または正当な理由がある場合は、不当な差別的取扱いにあたらないと考えられています。
障害者に障害の状況等を確認する理由が、障害の状況等を考慮した適切な物件紹介や適切な案内方法等を検討するためなどといった「合理的配慮を提供等するために必要」であり、なおかつプライバシーに十分配慮している場合は、不当な差別的取扱いには該当しないと考えられます。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
宅地建物取引業者が障害者に対して障害を理由とした誓約書の提出を求めることは、不当な差別的取扱いに該当する。
〇適切です。
障害者に対し、障害を理由とした誓約書の提出を求めることは、不当な差別的取扱いに該当します。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢①となります。
障害者差別解消法では、障害がある人への「不当な差別的取扱い」を禁止し、「合理的配慮」及び「環境の整備」を行うこととしています。
そのことによって、障害のある人もない人も共に生きる社会(共生社会)を目指しています。
共生社会を実現するための取組を推進するため、事業者に対し「合理的配慮」の提供を義務付けることなどを内容とする「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律」(「改正障害者差別解消法」)が、令和6年4月1日に施行されました。 (内閣府HPより引用)
資格試験では、法改正がなされた事項についての問題が出題されることがしばしばあります。
ぜひこの機会に、改正障害者差別解消法について理解を深めていただければと思います。
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