今日は、令和5年度 第38問について解説します。
特定賃貸借契約における建物所有者の金銭負担等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
① 特定転貸事業者が行う維持保全について、費用負担者が設備により異なる場合は、特定賃貸借契約重要事項説明書には設備ごとの負担者を記載しなければならない。
② 特定賃貸借契約で定める引渡日に物件を引き渡さないことで建物所有者が負うことになる違約金を定める場合は、その内容を特定賃貸借契約重要事項説明書に記載しなければならない。
③ 特定賃貸借契約を、定期建物賃貸借により締結する場合、家賃は減額できない旨の特約を定めていても、特定転貸事業者は家賃の減額請求ができる場合があることを建物所有者に説明しなければならない。
④ 特定転貸事業者が維持保全を行う設備について、経年劣化の修繕費用を建物所有者の負担とする場合、その旨を特定賃貸借契約重要事項説明書に記載しなければならない。
解説
特定賃貸借契約重要事項説明の説明事項に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
特定転貸事業者が行う維持保全について、費用負担者が設備により異なる場合は、特定賃貸借契約重要事項説明書には設備ごとの負担者を記載しなければならない。
〇適切です。
特定賃貸借契約重要事項説明において、特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全に関する費用の分担に関する事項について説明する必要があります。
維持保全の具体的な内容や、維持・修繕にかかる費用を貸主(建物所有者)と特定転貸事業者のどちらが負担するかを重要事項説明書に記載します。
設備についても、費用負担者が設備によって異なる場合は、設備ごとに具体的な内容を記載する必要があります。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ②
特定賃貸借契約で定める引渡日に物件を引き渡さないことで建物所有者が負うことになる違約金を定める場合は、その内容を特定賃貸借契約重要事項説明書に記載しなければならない。
〇適切です。
特定賃貸借契約重要事項説明において、引渡日に物件を引き渡さない場合など、貸主(建物所有者)の債務不履行による損害賠償額の予定や違約金を定める場合は、その内容を重要事項説明書に記載し説明する義務があります。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ③
特定賃貸借契約を、定期建物賃貸借により締結する場合、家賃は減額できない旨の特約を定めていても、特定転貸事業者は家賃の減額請求ができる場合があることを建物所有者に説明しなければならない。
×不適切です
特定賃貸借契約重要事項説明において、貸主(建物所有者)に払う家賃の額、支払期日、支払方法等の賃貸の条件やその変更に関する事項について説明する必要があります。
一方で、定期建物賃貸借の場合、「家賃は減額できない」という特約は有効です。
ですので、特定賃貸借契約を、定期建物賃貸借により締結する場合、家賃は減額できない旨の特約は有効です。特約に従い、特定転貸事業者は家賃の減額請求請求を行うことはできません。よってこの選択肢は不適切です。
なお、家賃改定日が定められている場合や、一定期間特定転貸事業者から家賃の減額はできないものとする等の内容が契約に盛り込まれていた場合でも、借地借家法による減額請求が可能であることについての説明をしなければなりません。この点と混同しやすいですので、注意が必要ですね。
選択肢 ④
特定転貸事業者が維持保全を行う設備について、経年劣化の修繕費用を建物所有者の負担とする場合、その旨を特定賃貸借契約重要事項説明書に記載しなければならない。
〇適切です。
特定賃貸借契約重要事項説明において、特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全に関する費用の分担に関する事項について説明する必要があります。
経年変化や通常損耗の修繕費用等どのような費用が貸主(建物所有者)負担となるかについても、具体的に重要事項説明書に記載して説明する義務があります。選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢③となります。
特定賃貸借契約に関する問題は、重要事項説明、契約締結時書面、特定賃貸借標準契約書について、例年複数問出題されています。
管理受託契約と同様、超重要テーマであることがわかります。
ぜひ関連解説もあわせてご確認いただければと思います。
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