今日は、令和5年度 第24問について解説します。
定期建物賃貸借契約に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア 定期建物賃貸借契約は、書面のほか、電磁的記録により締結することができる。
イ 定期建物賃貸借契約における事前説明(賃貸借に契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借が終了する旨の説明)は、賃借人の承諾がなくとも、電磁的方法により提供することができる。
ウ 契約期間が3か月の定期建物賃貸借契約の場合、賃貸人は契約終了の事前通知をせずとも、同契約の終了を賃借人に対抗できる。
エ 賃貸人は、平成5年に締結された居住目的の建物賃貸借契約に関し、令和5年4月1日、賃借人の同意を得られれば、同契約を合意解除し、改めて定期建物賃貸借契約を締結することができる。
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
解説
定期建物賃貸借契約に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ア
定期建物賃貸借契約は、書面のほか、電磁的記録により締結することができる。
〇適切です。
定期建物賃貸借契約は、公正証書などの書面で締結することが原則ですが、電磁的記録を使用して契約を締結することも認められています。
(必ず公正証書でなくてはいけないということではありません)
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 イ
定期建物賃貸借契約における事前説明(賃貸借に契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借が終了する旨の説明)は、賃借人の承諾がなくとも、電磁的方法により提供することができる。
×不適切です。
定期建物賃貸借の成立要件は①書面等による契約方法②事前説明(更新がないことについての説明)③更新がないこと(更新否定条項を定める)④契約期間を必ず定める の4つです。
事前説明は書面で行う必要があり、借主の承諾がなければ電磁的方法による提供は認められません。
つまり、定期建物賃貸借契約における事前説明(賃貸借に契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借が終了する旨の説明)は、賃借人の承諾を得れば、電磁的方法により提供することができます。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ウ
契約期間が3か月の定期建物賃貸借契約の場合、賃貸人は契約終了の事前通知をせずとも、同契約の終了を賃借人に対抗できる。
〇適切です。
定期建物賃貸借契約は、契約期間の下限がないため、契約期間を1年未満とすることも可能です。
(普通賃貸借契約は、契約期間を1年未満にした場合は期間の定めのない賃貸借契約となります)
なお1年以上の定期建物賃貸借契約は、契約満了の1~6か月までの間に終了の通知をしないと契約の終了を借主に対抗できませんが、1年未満の場合は終了通知は不要です。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 エ
賃貸人は、平成5年に締結された居住目的の建物賃貸借契約に関し、令和5年4月1日、賃借人の同意を得られれば、同契約を合意解除し、改めて定期建物賃貸借契約を締結することができる。
×不適切です。
定期建物賃貸借の制度が施行された、平成12年3月1日より前に締結された居住用建物の賃貸借契約については、これを終了して新たに定期建物賃貸借契約を締結することはできません。
つまり、賃貸人は、平成5年に締結された居住目的の建物賃貸借契約に関し、令和5年4月1日、賃借人の同意を得たとしても、同契約を合意解除し、改めて定期建物賃貸借契約を締結することができません。
以上から、正しい選択肢はアとウの2つですので、正解は選択肢②2つ となります。
ぜひ関連解説も確認しながら、理解を深めていただければと思います。
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