今日は、令和4年度 第7問について解説します。

令和4年度賃貸不動産経営管理士試験 第7

賃貸住宅の管理に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。

 

ア 賃貸住宅が長期にわたり必要な機能と収益性を保持するためには、建物の劣化状況等の現状を知ることが必要であり、新築時とその後の維持管理の履歴情報の蓄積と利用は、必要なメンテナンスを無駄なく行うことにつながる。

イ 天井からの漏水が、建物の劣化に起因せず、上階入居者の使用方法に原因があると判明した場合、上階入居者が付保する賃貸住宅居住者総合保険と、建物所有者が付保する施設所有者賠償保険を適用できる。

ウ 貸室の引渡しにあたっては、鍵の引渡しの際に、管理業者と賃借人が立会い等により貸室の客観的な情報を残しておくことで、後日の修繕や原状回復に関するトラブルの防止にもつながる。

 

1  なし

2  1つ

3  2つ

4  3つ

 

 

解説

賃貸住宅の管理の実務に関する問題です。

 

それではさっそく選択肢をみていきましょう。


選択肢 ア

賃貸住宅が長期にわたり必要な機能と収益性を保持するためには、建物の劣化状況等の現状を知ることが必要であり、新築時とその後の維持管理の履歴情報の蓄積と利用は、必要なメンテナンスを無駄なく行うことにつながる。

 

〇適切です。

履歴情報の蓄積、利用のメリットについて、まとめシートでは以下の通り解説しています。

賃貸住宅の機能や性能を長期間にわたって維持し、入居者の安全で快適な生活を守ることによって入居者を保持して収益性を保つために、維持管理業務は欠かすことができません。維持管理は、清掃などの日常業務と、定期的な点検・保守・修繕が中心業務となります。

維持管理業務を行う上で、建物の現状を知ることが必要ですが、修繕履歴などの維持管理の履歴情報の蓄積および利用をすることによって、正確な情報に基づいた適切な維持管理業務を行うことができますので、この選択肢は適切です。


 

選択肢 イ

天井からの漏水が、建物の劣化に起因せず、上階入居者の使用方法に原因があると判明した場合、上階入居者が付保する賃貸住宅居住者総合保険と、建物所有者が付保する施設所有者賠償保険を適用できる

 

×不適切です。

天井から漏水が起こった場合で、原因が上階の入居者の使用方法によるものであった場合は、上階入居者に責任がありますので、上階入居者が加入している保険を適用することができます。

施設賠償責任保険は、施設の不備などによって借主や第三者に損害を与えたときに補償するものですので、建物の不備によらないものは、適用できません。

つまり、天井からの漏水が、建物の劣化に起因せず、上階入居者の使用方法に原因があると判明した場合、上階入居者が付保する賃貸住宅居住者総合保険を適用することができますが、建物所有者が付保する施設所有者賠償保険は適用できません。よってこの選択肢は不適切です。


 

選択肢 ウ

貸室の引渡しにあたっては、鍵の引渡しの際に、管理業者と賃借人が立会い等により貸室の客観的な情報を残しておくことで、後日の修繕や原状回復に関するトラブルの防止にもつながる。

 

〇適切です。

入居中に修繕を行う必要がある場合や、退去時に原状回復に関する確認を行う際は、入居時の状況と比較する必要があるといえます。例えば、もともと毀損等を承知のうえで入居した場合はその部分の修繕の要否については十分な検討が必要になりますし、原状回復義務については毀損部分が借主の過失等によって生じたものかどうかを判断する必要があるからです。

管理業者が入居時に立会いを行い、写真などで客観的な情報を残しておくことは、入居時の状況の記録として有効なものとなりますので、トラブル防止につながるといえます。よってこの選択肢は適切です。


 

以上から、適切な選択肢はアとウの2つですので、正解は選択肢③となります。

 

この問題は、賃貸住宅の管理に関する問題となっていますが、実は選択肢の内容は、建物の維持保全や修繕、保険、入居時の対応と、広いテーマのものになっています。各テーマについて、まんべんなく学習しておく必要がありますね。

 

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