今日は、令和4年度 第5問について解説します。
賃貸住宅管理業者であるAが、賃貸人であるBとの管理受託契約に基づき、管理業務として建物の全体に及ぶ大規模な修繕をしたときに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
① 引き渡された建物が契約の内容に適合しないものであるとして、Aに対して報酬の減額を請求したBは、当該契約不適合に関してAに対し損害賠償を請求することができない。
② 引き渡された建物が契約の内容に適合しないものである場合、Bがその不適合を知った時から1年以内にその旨をAに通知しないと、Bは、その不適合を理由として、Aに対し担保責任を追及することができない。
③ 引き渡された建物が契約の内容に適合しないものである場合、Bは、Aに対し、目的物の修補を請求することができる。
④ Aに対する修繕の報酬の支払とBに対する建物の引渡しとは、同時履行の関係にあるのが原則である。
解説
建物の大規模修繕は、請負の性質を持っています。
ですのでこの問題は、請負に関する問題ということになります。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ①
引き渡された建物が契約の内容に適合しないものであるとして、Aに対して報酬の減額を請求したBは、当該契約不適合に関してAに対し損害賠償を請求することができない。
×不適切です。
請負人である管理業者Aは、注文者である貸主Bに対して、仕事を完成させる義務があり、仕事の内容は請負契約に適合するものでなければなりません。
請負内容に適合するものでなかった場合を契約不適合といいます。
契約不適合があった場合の請負人の担保責任について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
追完請求と報酬減額請求が認められた場合でも、損害賠償請求することができます。
つまり、引き渡された建物が契約の内容に適合しないものであるとして、Aに対して報酬の減額を請求したBは、当該契約不適合に関してAに対し損害賠償を請求することができます。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
引き渡された建物が契約の内容に適合しないものである場合、Bがその不適合を知った時から1年以内にその旨をAに通知しないと、Bは、その不適合を理由として、Aに対し担保責任を追及することができない。
〇適切です。
契約不適合があった場合の請負人の担保責任の制限について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
注文者は、不適合を知った日から1年以内に不適合があることを請負人に通知しなければならず、通知しなかった場合は担保責任を追及できなくなります。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ③
引き渡された建物が契約の内容に適合しないものである場合、Bは、Aに対し、目的物の修補を請求することができる。
〇適切です。
もう一度、契約不適合があった場合の請負人の担保責任について、まとめシートの解説を確認しましょう。
契約不適合があった場合、注文者は目的物の補修などの追完請求をすることができます。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
Aに対する修繕の報酬の支払とBに対する建物の引渡しとは、同時履行の関係にあるのが原則である。
〇適切です。
報酬の支払い時期について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
注文者は、目的物の引渡しと同時に報酬を支払う義務があります。なお引渡しを必要としない場合は、仕事が終わった後で報酬を支払わなければなりません。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢①となります。
ぜひ関連解説もあわせてご確認いただければと思います。
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