今日は、令和4年度 第44問について解説します。
賃貸住宅管理に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
① 「賃貸住宅の計画的な維持管理及び性能向上の推進について~計画修繕を含む投資判断の重要性~」(国土交通省平成31年3月公表)では、高経年建物の大幅な増加や居住者側のニーズの多様化を背景に、空室率の上昇や家賃水準の引下げのおそれがあることから、賃貸住宅の貸主が中長期的な視点のもとで計画修繕するなどの投資判断を行うことの重要性が述べられている。
② 地価の二極化が進む中で不動産市場が活力を失い、借り手市場となって空室対策に苦しむエリアにおいて、入居率を維持し賃貸収入を確保するためには、借主の入替えに伴う新規入居者からの一時金収入と賃料引上げに期待する考え方を強化することが大切になっている。
③ 既存の賃貸住宅経営の観点から優良な借主に長く契約を継続してもらうニーズが大きくなり、借主の立場を重視した管理のあり方が要請されているが、借主は借地借家法で保護されていることから、借主を消費者と位置付けて消費者保護の観点から賃貸借関係を捉える必要はない。
④ 「不動産業ビジョン2030~令和時代の『不動産最適活用』に向けて~」(国土交通省平成31年4月24日公表)は、不動産流通業の役割として、資産価値の維持・向上を通じたストック型社会の実現、コミュニティ形成、高齢者見守りなど付加価値サービスの提供やエリアマネジメント推進を指摘した。
解説
賃貸住宅管理の意義に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ①
「賃貸住宅の計画的な維持管理及び性能向上の推進について~計画修繕を含む投資判断の重要性~」(国土交通省平成31年3月公表)では、高経年建物の大幅な増加や居住者側のニーズの多様化を背景に、空室率の上昇や家賃水準の引下げのおそれがあることから、賃貸住宅の貸主が中長期的な視点のもとで計画修繕するなどの投資判断を行うことの重要性が述べられている。
〇適切です。
今後築数十年を超えるストックの大幅な増加が見込まれることや、居住者側のニーズの多様化が進んでいることなど、賃貸住宅経営をめぐる社会情勢は様々に変化していくことが見込まれていおり、このような現状から、空室率の上昇や家賃水準の引き下げのおそれがあります。「賃貸住宅の計画的な維持管理及び性能向上の推進について~計画修繕を含む投資判断の重要性~」では、賃貸住宅のオーナーが中長期的な視点のもとで計画修繕するなどの投資判断を行うことの重要性が述べられています。(国土交通省HPより引用)
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ②
地価の二極化が進む中で不動産市場が活力を失い、借り手市場となって空室対策に苦しむエリアにおいて、入居率を維持し賃貸収入を確保するためには、借主の入替えに伴う新規入居者からの一時金収入と賃料引上げに期待する考え方を強化することが大切になっている。
×不適切です。
入居率を維持して賃料収入を確保するためには、優良な借主に長く契約を継続してもらうことが大切です。
つまり、地価の二極化が進む中で不動産市場が活力を失い、借り手市場となって空室対策に苦しむエリアにおいて、入居率を維持し賃貸収入を確保するためには、優良な借主に長く契約を継続してもらうことが大切になっています。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
既存の賃貸住宅経営の観点から優良な借主に長く契約を継続してもらうニーズが大きくなり、借主の立場を重視した管理のあり方が要請されているが、借主は借地借家法で保護されていることから、借主を消費者と位置付けて消費者保護の観点から賃貸借関係を捉える必要はない。
×不適切です。
特消費者保護の観点からの管理について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
消費者保護の観点から、不動産の賃貸借関係を捉えようとする動きも活発になりました。
個人である借主を消費者と位置づけ、借主や入居者の立場を配慮した管理を行うことによって優良な借主に長く契約を継続してもらうことは、オーナーにとっても好ましいことです。
つまり、既存の賃貸住宅経営の観点から優良な借主に長く契約を継続してもらうニーズが大きくなり、借主の立場を重視した管理のあり方が要請されています。借主は借地借家法という法の下で保護されているといえども、借主を消費者と位置付けて消費者保護の観点から賃貸借関係を捉える必要があります。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ④
「不動産業ビジョン2030~令和時代の『不動産最適活用』に向けて~」(国土交通省平成31年4月24日公表)は、不動産流通業の役割として、資産価値の維持・向上を通じたストック型社会の実現、コミュニティ形成、高齢者見守りなど付加価値サービスの提供やエリアマネジメント推進を指摘した。
×不適切です。
不動産業の中・長期ビジョンとして、国土交通省では不動産業ビジョン2030を公表しています。
不動産業が目指すべき将来像を掲げ、官民共通の目標が設定されており、また、民の役割・官の役割がそれぞれ整理されています。
民の役割のうち、不動産管理業の役割については、資産価値の維持・向上を通じたストック型社会の実現、コミュニティ形成・高齢者見守りなど付加価値サービスの提供、エリアマネジメント推進について指摘されています。
つまり、「不動産業ビジョン2030~令和時代の『不動産最適活用』に向けて~」(国土交通省平成31年4月24日公表)は、不動産管理業の役割として、資産価値の維持・向上を通じたストック型社会の実現、コミュニティ形成、高齢者見守りなど付加価値サービスの提供やエリアマネジメント推進を指摘しています。よってこの選択肢は不適切です。
なお、不動産流通業の役割については、的確な情報提供による取引の安全確保、消費者の多様なニーズに対応するコンサルティング能力の強化、地域の守り手として地域活性化を支える存在、であることと指摘しています。
以上から、正解は選択肢①となります。
ぜひ関連解説もあわせてご確認いただければと思います。
★関連解説★
一発合格まとめシートは、ここから立ち読みできますので、ぜひ試してみてくださいね。
2024年度版 一発合格まとめシート
好評発売中!